ナミビアから国境を越え、南アフリカに入国。
ナミビアの人々から、「南アフリカでは治安が悪いから気を付けなよ」と口々にアドバイスされながら(笑)
南アフリカは前回訪れたことがあるので、それほど長くは滞在しないつもりだが、今回は西海岸を経由して、ケープタウンを目指すことにする。
南アフリカ西海岸 パーペンドープからダーリンベイまでの絶景海岸沿いトレッキング
南アフリカ入国のスタンプを押してもらい、ついに南アフリカへ。
入国審査をしていると、ナミビアから来たトラックドライバーに声をかけられ、「ケープタウンまで行くけど、一緒に行くか?」と。
ドライバーからそんなオファーを受けるなんて珍しいのですこし疑ってはいたが、少し話して問題なさそうなので、彼と一緒に南アフリカを南下させてもらう事に。
彼はほぼ毎日ナミビアと南アフリカを行き来しているという。
大型トラックなので決してスピードは早くないが、午後15:00頃には無事にバンラインスドルプ(Vanrhynsdorp)に到着。
そこのガソリンスタンドでフレデンタル(Vredental)まで行く車をヒッチハイクしようと思い、給油中の車の運転手に聞いて回っていると、スタッフの一人が「ここでのヒッチハイクは禁止されています」と。
え?そうなの?まさかのヒッチハイク禁止に少し困惑するが、やんわり無視してガソスタの駐車場で人々に聞いて回る。
するとそこにいた地元の人(あんまり清潔な格好とは呼べない)が、「フレデンタルに行くなら、俺も行くんだ。一緒に探そう」と誘われる。
ただおそらく一人で探した方が簡単だし、南アフリカの治安の悪さも考慮に入れて、申し訳ないが断る。
そのすぐ後に、一台の車が近寄ってきてくれてフレデンタルのすぐそばまで連れて行ってくれたのだが…
そのドライバーが話す事には、「あんたが地元の男と話しているのを見かけてほっておけなかったんだ。あそこにいる何人かは悪い輩だよだ。一緒にヒッチハイクをしようと誘って、友人に連絡をとり車で来させる。旅行者を連れ去って、荷物を全部奪うという手口さ。本当は会社の車には他人を乗せてはならない決まりなんだが、ほっておけなくてね。上司も理由を説明すればわかってくれるはずさ」と…。
えー!そんな手口があるのか…。南アフリカヤバい。気をつけなければ…。
そんなこんなでフレデンタル(Vredental)に到着。
もう日も暮れそうな時間だったので宿探しをしていると、街の入り口に警察署を発見。事情を説明すると、こころよく警察署内で一泊させてもらえる事に。
南アフリカでも警察署泊は頼めばオッケーのようだ。
その後、目の前にあるスーパーマーケットで惣菜を買って食べていると、通りかかった警察の一人が、
「警察署に戻ってから食べてくれ。外で食べると危険だ。あんたはよそ者だってすぐわかるから、絶好のターゲットになってしまう」と…。
えー…そこまでですか…南アフリカ。
翌朝フレデンタルから、西海岸のストランドフォンテインを目指してヒッチハイクを開始。
犯罪率の高さもあるのだろう…やっぱり簡単には止まってくれないが、2時間後に一台の車が停車。
彼との出会いが、その日の私の予定を一気に変えた。
地元民の彼は、「ストランドフォンテインに直行するなんてもったいないよ。その前にパッペンドープという小さな村があってね、そこから海岸線沿いをストランドフォンテインまで歩けるんだ。めちゃくちゃきれいだし、もし気に入ればもっと南の村までも歩いて行けるよ」と。
なるほど、それは面白そうだ!
「そうと決まれば、飯は持っているか?歩くなら体力を使うから何か食べ物を買わないとな。よし最寄りの街のスーパーマーケットに寄るから、そこで何か買っていこう!」と。
どんだけ親切な人なんだ。彼のおかげで、その日が一気に面白くなった。
パッペンドープは、少数の家があるだけのめちゃくちゃ田舎。
見るからに平和な村だ。ここからすでに海とラグーンが見えて、トレッキング用のトレイルもあるようだ。
歩いてみると、サボテンが生えていたりと、周辺の自然環境がめちゃくちゃ面白い。
ラグーンまで辿り着くと、そこにはフラミンゴも生息していた。
そこからビーチ沿いをストランドフォンテインに向かって歩く。
何という絶景だろう。そして歩いているのは自分一人だけ。
岩陰には小さなアザラシが寝ていて、私に気づくと慌てて海に這っていった。
まだこんな自然も残っているようだ。
全ての荷物(合計18kgほど)を背負って歩いているので簡単ではないけれど、その重さが全く気にならないほどに気持ちがいいトレイル。これは来てよかった。
そしてしばらく歩いていると、視界の先に街が見えてきた。
そこはストランドフォンテインと呼ばれる街。
お金持ちが海岸線沿いにホリデーハウスを建てて、週末やバケーションの期間にだけ滞在する贅沢な建物が建ち並んでいるような街だ。
地元の人は僅かで、小さなレストランと、雑貨店が一軒ずつしかない。
まだまだ時間もあるので、お店で買ったミートパイを温めてもらい、ここから10kmほど先にあるダーリンベイまで歩くことに。
ストランドフォンテインからダーリンベイまでのトレイルは海岸線沿いの切り立った崖が特徴的な場所だった。
ミーアキャットの標識もあったが、ここにいるのか?残念ながら私は出会えなかった。
長年の浸食と風化によってできた入り組んだ崖が美しく続いていく。
ポルトガル南西部の海岸線沿いにある「漁師の道」と呼ばれるトレイルと似ていて、あそこも素晴らしかったことを思い出しながら歩く。
ダーリンベイが近づくと、トレイルは崖の上からビーチ沿いへと下っていく。
後半になると重い荷物の事もありかなり疲れ果てていたけれど、何とかダーリンベイまで到着。
ここにも村の入り口に警察があったので、この日はそこでテント泊。
この村はストランドフォンテインと違って、地元の人も多く住んでいる村で、主要産業はアワビの捕獲と加工。ロブスターもたくさん獲れるという。
また川の河口付近で見つかるダイヤモンドの採掘も行われているのだとか。
夕日を眺めた後に警察署に戻ると、向かい側の一軒家に住む人が声をかけてくれる。
ずっと旅をしている事を話すと興味を持ってくれたのか、家に招待してくれてコーヒーを頂くことに。
ウェストコーストと呼ばれるこの地域に住む人はフレンドリーな人が多いと聞いていたが、本当にそうなんだなと改めて実感する。
この地域には人口も少なく、犯罪率も低いという。実際にここでは全く危険の匂いがしなかった。
ランバート・ベイ カウチサーフィンで南アフリカ体験
翌日の目的地ランバートベイまでは、歩くとかなり距離があるのでヒッチハイクで向かうことに。
ここから目的地までは、たった50kmほどの距離なのだが、まさかの大苦戦。
なんと朝8:00に始めて、夕方の4:00にようやく車が見つかるという。8時間ただポッドキャストでラジオを聞きながら待ち続けた日。
そして止まってくれた車のメンバーもめちゃくちゃ酔っ払ってるという状態(笑)
まぁただこのチャンスを逃すと、いつランバート・ベイに辿り着けるかわからないので、まぁ彼らと共に行くしかないのだ。
ランバート・ベイでホストしてくれていたのは、フランソワ、ベルティナ、ノアの家族。到着した瞬間からめちゃくちゃ親切で、滞在中本当にお世話になった。
夫のフランソワは釣りにサーフィンに、絵画に多彩で多趣味。妻のベルティナは、シェフでカフェ経営。息子のノアも13才とはいえ、話していると明らかに頭いい。
加えてラブラドールとジャーマンシェパードの混血の大きな犬ラビ―。そして3匹の猫が共に暮らす。
海の近くに建つ家のキッチンの窓からは海が見える最高の立地。
彼らの忙しい時間を使って、ランバート・ベイの街を案内してくれたり、
サーフィンやボディーボード、釣りへも一緒に行った。
ブッシュマンの壁画が残る洞窟へも連れて行ってくれ、
また夕食に魚をブライ(南アフリカ式バーベキュー)をして楽しんだり、
魚にスパイスをマリネードして炭火焼。
こちらはブリッキーブレッドと呼ばれる炭焼きサンドイッチ。中にはトマトやチーズを入れる。
完成したディナーは、こんな感じ。そしてワインと波の音をBGMに食べる。あぁ最高だ。
こんな風に南アフリカの文化を地元の人と一緒に体験したり、素敵な人々と出会えるのがカウチサーフィンの魅力だろう。
日本に帰れば、このご恩は返していく。
おわりに
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