[エジプト] 2ヵ月も滞在してしまったアスワン その不思議な魅力とは…

エジプト

気がつけば2ヵ月も滞在してしまったアスワンの街。程よい大きさの街中をナイル川がゆったりと流れ、街の雑踏から距離を置ける静かな場所や自然もある。

見知らぬ土地に来た日本人の旅人でも、何だかすんなりとアスワンに住む人々のコミュニティに受け入れてもらえたような、不思議と長期滞在してしまった、そんな街だった。

アスワン 長期滞在してしまうような不思議な魅力がある街

ルクソールからヒッチハイクでアスワンに到着したのは2021年11月。今この記事を書いているのが2022年の1月7日なので、もう2ヵ月間もアスワンに滞在していることになる。

アスワンでは街の中心から少し離れた場所にあるデイビット・ホステルで、ボランティアとして働かせてもらいながら滞在していた。

ホステルを訪れる世界各国からの旅人と、カウチサーフィンを中心に知り合った地元の人々との多くの出会いに恵まれた2ヵ月。アスワンが自分の街のように思えて、何とも去り難いような気持ち。

アスワンが位置するのは、カイロから南に870kmほど離れたエジプトの南部のナイル川の流域。

1年を通して太陽が照りつける乾燥した暖かい気候が特徴。夏の平均最高気温は40度以上に達する暑さですが、冬の時期は24度と過ごしやすい。

アスワンは、かつて「スウェネト」と呼ばれ、古代エジプトにおいて南の辺境の町であった。

当時アスワンを境として、ナイル川の急流により川下から来た船は先へ進めず、ここで船を下り陸路を進むしかなかったという。

そのために、この地は古代において、アスワン南部からスーダン北部へ広がるヌビアと呼ばれる地域と、エジプトとの国境に自然となっていたようだ。

現在でもアスワン各地にはヌビア人が住む村々があり、彼らの住む村を訪れると、エジプトとは一味違う文化や伝統が息づいている。

アスワンには鉄道駅や空港もあり、エジプト各地と便利な公共交通機関でつながっている。

鉄道駅の周辺がアスワンで最も賑わっているエリアで、クリスマスや新年の時期にはイルミネーションやカラフルな噴水で彩られていた。

鉄道駅から南に続く通りは、地元の人々と旅行者で賑わう市場通り。鉄道駅に近いエリアは、土産物屋など旅行者向けの店が並び、南に向かうにつれてローカルの雰囲気が漂ってくる。

ちなみにアスワンは、古代から花崗岩が豊富な採石場として知られており、ここから切り出された良質の花崗岩は、古代エジプトにおける神殿や彫刻、記念碑の材料として用いられてきた。

驚くことに、アスワンの市内にある古代の採石場には、切り出す途中で放棄された巨大なオベリスクが3500年前から今でも横たわっており、古代エジプトの石工技術を垣間見ることができる。

こちらのオベリスクは、完成すれば通常よりも大きな長さ42m、重さ1200tにもなるようで、おそらくルクソールのカルナック神殿のオベリスクのバックアップとして作業が始められたのではないかと考えられているのだとか。

湿った木が膨張する性質を利用して石を割っていたようで、当時の人々の知恵には驚かされる。

未完成のオベリスクから通りを挟んで反対側にある墓地には、現代の墓と混在して、9世紀にも遡るファーティマ朝時代の墓があります。

街の中にもアスワンの辿ってきた歴史を感じられる場所があり面白い。

ナイル川沿いは遊歩道になっており、優雅に流れるナイル川の景色を堪能できる。

水面には、空に広げた帆に風を受けてゆったりと進むフェルーカ。

日が暮れる前、遊歩道で声をかけてくるヌビア人のボートマンと交渉すればナイル川をゆらゆらと揺れる帆船へ。

夕日に照らされた美しいナイルの姿と、西側に広がる砂丘の風景をゆったりと進む帆船の上から眺めるのもいい。

時にはナイル川沿いにあるオープンカフェで、夕日を眺めながら過ごすことも。

アスワンには不思議とリラックスした空気が流れ、のんびり過ごすにはピッタリの場所だった。

滞在していたデイビットホステルからも、徒歩20分ほどでナイル川に。

街の中心部から少し離れている事もあり、何とも牧歌的な風景が広がっている。

ヌビア人の方々が住んでいる村を通り抜けていくと、「ハロー!ハロー!」と子供達から声がかかる。

「マニ―、マニー!」とお金をせびる子供達もいるけれど、それもご愛嬌。

ホステルでの仕事が終わった後、ここに夕日を眺めに訪れるのが定番の散歩コースになった。

ナイル川では手漕ぎのボートで漁師が魚を獲る姿が。

日が暮れる時間になると、水辺にすむ鳥たちが囀りながら水面を泳いだり飛び回ったり。

そんな風景の中を漁師たちの小舟がゆっくりと通り過ぎていく。

アスワンの夕日は砂塵が大気に混ざっているせいか、霞むような不思議な光。

美しい夕日を見ると、どんな一日だったとしても、良い一日だったと思える不思議。

夕日の美しさに加えてアスワンを語るうえで避けられないのが、この地に住む人々の良さ。

通りに出るたびに「アスワンにようこそ」と声がかかり、地元の人々に受け入れられているような心地にさせてくれる。

公共のミニバスに乗った時も、隣の人が代わりにバス代を払ってくれていたり。

エジプトの方々の人の好さや治安の良さは長く滞在すればするほどわかるような気がする。

ナイル川西岸の砂漠をトレッキングで絶景の旅へ

アスワンの魅力の一つは、大きな街でありながら美しい自然へのアクセスが良く、リラックスできる場所がある事。

私がアスワンに滞在していた時のお気に入りは、ナイル川西岸に広がる砂漠を、ナイル川沿いにトレッキングする事。

北から南まで歩いて4時間ぐらいのコース。

このコースは絶景だけでなく、8世紀に建設されたコプト教の修道院や放置されたミイラ、ヒエログリフが描かれた巨石、ナイル川で泳げるビーチを経由して、カラフルなペイントで有名なヌビアンビレッジまで歩くという、アスワンの魅力が詰まったトレッキングコース。

このトレッキングの開始ポイントとなるのは、貴族の墓(Tombs of Nobels)がある丘から。

まずはアスワン鉄道駅正面の通りを、西のナイル川方向にまっすぐ歩いた場所にある船着き場から、公共のフェリーに乗船してナイル川の西岸へ渡る。

西岸に到着後、貴族の墓へは行かずに西方向の砂漠方向へ歩き出すと、そこからこの絶景トレッキングの開始。

少し歩いただけで、その先に広がるのは砂漠、砂漠、砂漠。

そして砂丘を背後から回り込むように迂回して登りきると、眼前に広がるのはナイル川とアスワンの街の絶景。

この砂丘の上からナイル川に沿うように、北から南へと8kmほどの距離を目的地のヌビアンビレッジまで歩いていく。

砂丘からナイル川までは急斜面になっており、砂漠の黄色とナイルの青のコントラストが美しい。

砂漠と一口にいっても、砂丘だけでなくゴツゴツした岩が隆起していたりと変化に富んでいる。

そしてこんな風景の中をラクダ乗りが通り過ぎていくため、いっそう風情がある。

しばらく砂漠を南方向に歩いていくと、砂の中に姿を現すのが聖シメオン修道院。

日干し煉瓦を積み上げて建設された砂漠の中の修道院跡。

何も知らないで砂漠を歩いているときに発見したので、その時の感動は忘れられない。

7世紀に創設され、ヌビア地方にキリスト教を広める伝道の拠点となった場所だという。

残念ながら12世紀から13世紀にかけて、サラディーン率いるアラブ勢力の攻撃を受け、廃墟となってしまいましたが、キリストや十二使徒が描かれたフレスコ画もかすかに残っていました。

この修道院から南に行くとアガ・カーンの霊廟があるのですが、衝撃なのは周辺に古代エジプト時代のモノと思われる墓が、地面に穴を掘られて点在している事。

しかもいくつかの墓の入り口は開いていて、中に入る事ができる。

恐る恐る中に入ってライトを照らしてみると、衝撃の映像….

ミ…ミイラがある…。石の棺桶や、ビニール袋に入っているのは人骨?

正真正銘の本物のミイラなのですが、なぜか放置してある…。まるでインディー・ジョーンズになったよう。

さらに近くにある丘の上の奇妙な形をした巨岩にはヒエログリフが描かれている。

こちらも不思議と放置状態で、特別に保護されている様子はない。

地元の人と話をしていると、アスワン周辺にはまだまだ知られざる宝物が埋まっているようで、時折それらを発見する人々が現れ大金持ちになることもあるのだとか。

何ともロマンのある話だ。この果てしない砂漠の下には、まだまだ我々の知らない未知の遺跡がたくさんあるのだろう。

そんな空想に思いを巡らせながら、ナイル川の絶景の広がる砂丘の上を歩いていく。

ここからヌビアンビレッジの間には、ナイル川で泳げるビーチもあり、時々友人達と泳ぎに来た。

冬の間の水の温度は13度と、とても温かいとは言えないけれど、ナイル川で泳ぐと不思議と体にエネルギーが満ちるような不思議な体験だった。

またこの砂漠でした楽しかった思い出としては、テントを張って一日キャンプした事。

キャンプをした日の翌日は、2021年の最後の日12月31日。

アスワンの街を照らす朝日を、砂丘の頂上から眺めた。

コロナ禍で世界中で様々な制約が課され、自由に旅をするのも簡単ではなくなった。

それでも楽しむことをあきらめないし、この場所を訪れることができてよかった。

そしてナイル川沿いの緑豊かな川岸をさらに南に歩いていくと、トレッキングの終着点ヌビアンビレッジ(ガルブ・セへイル村)へ到着する。

ヌビアンビレッジ

さてトレッキングを終えて到着したのはヌビアンビレッジ。村の名前はガルブ・セへイル(Gharb Seheil)と呼ばれ、ヌビア人の人々が暮らす村。

砂丘を背景にナイル川の西岸に佇むこの村は、カラフルに彩られたヌビア人の方々の、かわいらしい家が有名。

ちなみにヌビア人とは、エジプトのアスワン南部からスーダンの北部にまたがるヌビアという地域にルーツを持つ人々。

ヌビアは古代から金や鉄、銅などの鉱物資源に恵まれ、 またアフリカ南部を結ぶ交易路としても重要な役割を担っていた。

そのため現代に残された遺跡にも、ヌビア人たちは主に傭兵や商人の姿で、多くの墓の壁画やレリーフに描かれています。

古代以降にギリシャ人・ローマ人の移民が流入し続けたエジプトとは異なり、ヌビアではアラブ文化と混ざりつつも古代エジプトから続く独自の文化が残されているのだとか。

ヌビア地方は極端に雨が少ない地域であり、年間を通して雨が降る事はめったにない。それでもナイル川の季節ごとの氾濫によって恩恵を受け、肥沃な土地を持つことで古代から繁栄してきた。

しかしナイル川流域が農地ではなく主に居住地として利用されるようになると、ナイル川の氾濫による洪水の被害が問題となり、それをコントロールするために1960年代にアスワンに巨大なダムが建設されることに。

その結果、ナイル川の氾濫は管理されるようになり、洪水や干ばつの問題も解決し、水力発電で電力も確保できることになるのですが、ダムの建設と共に巨大なナセル湖が人工的に作られたことにより、ナイル川近隣に存在していた数多くの村が水没してしまうことに。

その結果、水没した村に住んでいたヌビア人達は、ルクソールからコム・オンボまでのナイル川沿いに開かれた居住区へ強制移住させられることとなったのです。

その居住区の一つが、ヌビアンビレッジとして有名な、こちらのガルブ・セへイル村なのです。

こちらのヌビアンビレッジに足を踏み入れると、目立つのは観光客向けの多くの土産物屋と青を基調としたカラフルなヌビア人の方々のお宅。

これらのカラフルなお宅のいくつかは観光客にも開放されており、チップを払う事でヌビア人の方々の生活の様子を見学させていただくこともできます。

驚いたのは訪れたヌビア人のお宅の中で、ペットとして生きたワニを飼っている家族がいたこと。

ヌビア人にとってワニは幸運を運んだり、魔除けの効果があると信じられており、ワニの剥製が家や店の玄関先に飾られていたり、ペットとして生きたワニを家で飼育している家庭もあるのだとか。

観光客向けの施設が建ち並ぶナイル川沿いのエリアから、その背後に広がる丘を登っていくと、そこには観光客向けではない彼らの日常生活の風景が。

通りを歩いていると、たくさんの子供が屋外で走り回っていて、「ハロー!ハロー!」と絶え間なく声がかかる。

後ろを振り返ると、時には20人程の子供たちのグループが後ろをついてきている事も(笑)

アスワン滞在も2ヶ月となると、どんどんと友人たちとの関係も深くなり、時には彼らのお宅で食事に招待してもらえることも。

下の写真は仲良くなったヌビア人のサンバのお宅に、ヨルダン人のワリードと共に訪れた時の写真。

ヌビア人のおもてなしや人の好さはエジプトを旅する旅人の中では有名で、サンバの家族も豪華な食事を調理してくれました。

エジプト名物のモロヘイヤスープにも卵を溶かして食べるのが、ヌビア流とのこと。

ヌビア人のサンバとは、その後もどんどんと仲良くなり、一緒にヌビアンビレッジの背後にある砂漠でキャンプしたり、

ナイル川の畔で、地元の漁師から購入した魚をバーベキューしたり、

ヌビア音楽のバンドを招いて、盛大にパーティーをやったり、

彼の働くナイル川沿いのカフェで、カウチサーフィンミーティングをしたりと、様々な素敵な時間を共に過ごした。

今もブログを書いている間に、こうした出会いに恵まれて、どんどんとアスワンを離れがたくなっていったのが思い出される。

また再会できる…なんて事はあるのだろうか。一期一会、瞬間瞬間の大切さが身に沁みる。

ナイル川に浮かぶ島々を巡る

アスワンのナイル川沿いを歩いていると、ナイル川に小さな島々が点在することに気づく。

周囲を川に囲まれているので、フェリーでしか辿り着けないこれらの各島々。

各島のそれぞれの魅力に迫る。

エレファンティネ島

アスワンの中心部にほど近い場所にあるのがエレファンティネ島。

古代エジプト時代、何とアスワンはこのエレファンティネ島に従属する集落に過ぎなかったよう。

その証拠に数多くの神殿跡が島内に発見されている。

エレファンティネ島は、その昔象牙の取引所として重要な場所であったようで、島の名前もそこに由来しているのだとか。

島の南部には古代エジプト時代に建てられたクヌム神殿遺跡やナイロメーターの遺跡があります。

クヌム神は牡羊の頭を持つ創造神で、この地方の守護神と考えられていました。

遺跡を離れ島内を歩き回っていると、アスワン中心部に比べて圧倒的に静かで穏やかな空気に包まれる。

それもそのはずで、島内には車やトゥクトゥクがなく主な交通手段は徒歩。そのおかげで島内のペースはゆったり、のんびり。

島の北部と南部にある住宅街を歩くと、道は入り組んでいて迷路のよう。

時折ヌビア人の村らしい、鮮やかでカラフルな家も目立つ。

島の中心部には、農場が広がり緑も多い。

そしてフレンドリーで愛らしい子供達との出会いも、この島の魅力。

アスワンで知り合った友人が、ヌビア人のアフメッドの家に居候していたので、たびたび訪れるうちに、彼らとも仲良くなることができた。

ヌビアンディナーパーティーと称して、たくさんの人を招いてヌビア名物の料理を堪能したり。

アフメッドの妻ニシュリーンが凄腕のシェフで、ラクダの肉やハトに米を詰めて丸焼きにした料理を振る舞ってくれた。

今思い返しても、本当にここでは色んな出会いに恵まれていた。

セヘル島とクロウマキャンプ

エレファンティネ島よりも少し南に離れた場所にあるのはセへル島。

手漕ぎのボートでゆっくりとセヘル島へと渡ると、岩でゴツゴツとした風景が目立つ。

この島の南部では、花崗岩に描かれた碑文が残る石碑が多数発見されている。

碑文は主にヌビアへの旅の出立時あるいは帰還時に記されたものなのだとか。前述した通り、アスワンは古代エジプト時代、ヌビアとの国境とされていた。

最も有名な石碑は、エジプト第3王朝ファラオのジェセル王治世中の7年に渡る干ばつと飢饉について書かれた碑文。この石碑は紀元前332年から31年まで統治したプトレマイオス朝の時代に刻まれたと考えられているそう。

このセヘル島でオススメなのは、島の最南端にあるクロウマキャンプを訪れること。

ナイル川に面した場所に、よく手入された庭とカフェスペースがあって、のんびりとした一日を送るには最適な場所。

ホステル働きで疲れた日には、ここにきてのんびりと過ごした時間が懐かしい。

はじめてナイル川で泳いだのもここだった。

クロウマキャンプのオーナーと仲良くなって、クリスマスパーティーをさせてもらったり、

ヌビア音楽と共に2022年を迎えたのも懐かしい。

つい最近のことなのに、ずっと昔のことのように思える。思い出とはそんなものか。

アスワン郊外の見所

アスワン滞在中には、休日を使って郊外に出かけることも。

ワニの神様ソベクとホルス神に捧げられたコム・オンボ神殿や、ダラウにあるラクダ市場。

アスワン・ハイダム建設に伴い、水没の危機からユネスコにより救われた、フィラエ神殿とアブ・シンベル神殿。

コム・オンボ神殿

アスワンから北に60kmほど離れたナイル川沿いにあるのがコム・オンボ神殿。

この神殿で興味深いのはワニの神ソベクとホルス神の二体が祀られている事。

神殿の右半分はソベク神、左半分はホルス神に捧げられているのだとか。

こちらのレリーフの右がワニの神ソベク、左がハヤブサの神ホルス神。

現在、残っているのはプトレマイオス朝からローマ帝国にかけてのもののようですが、現在までこのように保存されているのには驚きです。

一部の天井には、ネクベト神の姿が綺麗な色が残っている場所も。

コム・オンボ神殿を訪れて、もう一つ面白かったのが、同じ敷地内にワニの博物館が併設されている事。

こちらの博物館では近隣で発見された多数のワニのミイラを見ることができます。

ミイラになって小さく見えますが、元々の大きさは2倍くらいあるそう。

かつては神様として崇められたワニの神ソベク。信仰の対象となったナイルワニ自体はアスワンダムの建設と共にダムの向こう側へ追いやられ、エジプトのナイル川にワニは存在しない現在。

そんな穏やかすぎるナイル川では、男たちが小舟を浮かべ、今日も釣りに励んでいる。

ダラウのラクダマーケット

コム・オンボ神殿に行く途中に通り過ぎるダラウという街。ここでは、週末にエジプトで最大級のラクダ市場が開かれているというので行ってみた。

ラクダ市場が開かれているのは早朝だというので、早起きして朝6:00のミニバスでアスワンを出発。

バスを下車して、ラクダ市場の会場まで徒歩で歩く。道中は田舎道で、あまりにも賑わっていないので心配になったけれど、会場まで到着するとラクダがいた。

エジプト最大のラクダ市場?と聞いて訪れると規模の小ささにがっかりするかもしれないけれど、規模が大きすぎないからこそ珍しい観光客をフレンドリーに迎えてくれた人々。

アラビア語がまだわからないので、コミュニケーションはとれないけれど、特別歓迎されているわけでもないが、邪魔者扱いされていない事はわかる。

こちらの市場にいるラクダは主にスーダンから運ばれてきたラクダ達で、ここからカイロやサウジアラビアなどに売られていくのだとか。

個人的に楽しかったのは、はじめてラクダの赤ちゃんを見て手で触れられたこと。他の動物の赤ちゃんと同様にめちゃくちゃ人懐こくて、顔面をもみくちゃにしても恐がる様子はなし。

同会場内ではラクダをつなぐためのロープや、ラクダをコントロールするための棒を売っている人々も。

超ローカルな食堂も併設されていて、とてつもなく濃い体験ができた。

3時間ぐらいラクダ市場の様子を見学させてもらった後、ラクダを車に乗せようとする男たちと、言う事を聞かないラクダの格闘を横目に見ながら、ラクダ市場を後にした。

フィラエ神殿

アスワン・ハイダムの建設を水没の危機にさらされたフィラエ神殿ですが、ユネスコにより水没から守るため、隣の島に神殿ごと移転されたのが現在の姿。

フィラエ神殿は、オシリス神の妻でイシス女神がホルス神を産んだとされるエジプト神話の聖地ともいえる場所。

現在残っているイシス神殿は有名なクレオパトラの父親であるプトレマイオス12世により築かれ、その後ローマ時代にわたって増築が行われてきたものであるらしい。

神殿内部には保存状態の良い美しい壁画が、今までたくさんの壁画を見てきたのでどうしても心から感動できないけれど、その美しさに変わりはない。

その中でも面白かったのが、当時のミュージシャンの姿が描かれた壁画。

当時の人々はどんな音楽を奏で、体を揺らしたのだろう。空想が広がる。

アブ・シンベル大神殿

今から約3300年前、砂岩でできた岩山を掘り進める形で作られた岩窟神殿。建造主は新王国時代第19王朝の王ラムセス2世。

大神殿は太陽神ラーを、小神殿は女神ハトホルを祭神とし、王妃ネフェルタリのために建造されたもの。

遺跡に近づくと目を見張るほどの大迫力の巨大な象。何と4体ともラムセス二世の像。

左から青年期、右に行くにつれ壮年期の姿にデザインされているそう。

入口上部にはこの神殿の祭神「太陽神ラー」の像。

ラムセス2世像のうち向かって左から2体目は神殿完成の数年後に起きた地震によって崩れ、頭部の一部が2体目の前に転がっている。

この神殿もアスワン・ハイダム建設時の水没の危機からユネスコにより救われたのだけれど、頭部の崩壊まで再現されているのはすごい。

ラムセス2世の座像の足元には彼の母や王妃、息子、娘などの小さな立像が並ぶ。

神殿に入り内部の列柱室には、両手を組みオシリス神のポーズを取るラムセス2世の像が左右に4体ずつ。

神殿内部の壁には神聖化された聖なる船の前で儀式を行う場面や、数々の戦に勝利したラムセス二世の業績が描かれています。

神殿最奥部にある至聖所には、4人の神像が。向かって右から太陽神ラー、ラムセス2世、守護神アメン・ラー、メンフィスの守護神プタハ。

そして驚くことに、この神殿では年に二回太陽の光が冥界神であるプタハを除いた三体の像に照らされるように設計されているのです。

何のためにこのような設計になっているのかは明らかにはなっていませんが、緻密に計算されつくされた古代エジプトの人々の知恵には驚くばかりです。

アブ・シンベル大神殿の隣にあるのはネフェルタリ妃のために建設された小神殿。

立像が6体あり、ラムセス二世とネフェルタリ妃が交互に設置されています。脇には彼らの息子と娘が。

エジプト各地の遺跡巡りで正直神殿を巡るのには飽きてしまったという人でも、迫力あるアブ・シンベル神殿には驚かされる事と思います。

おわりに

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コメント

  1. 哲也 より:

    はじめまして。
    エジプト旅行について調べていたら、こちらに辿り着きました。
    東京でサラリーマンをしている者です。

    とにかく、どの写真もきれいですね!
    また文章も過不足なく絶妙な塩梅で、とてもすんなり読める楽しいブログです。

    アブシンベル神殿について、

    >エジプト各地の遺跡巡りで正直神殿を巡るのには飽きてしまったという人でも、迫力あるアブ・シンベル神殿には驚かされる事と思います。

    これで私、アクセスの悪さから迷いに迷っていたアブシンベル行きを決めました!

    さてアスワンに長期間滞在したそうですが、カラフルなヌビアンヴィレッジに私も行こうと思っています。
    ルクソールからタクシーを借り切り、途中ホルス神殿、コムオンボ神殿に寄ってアスワン入りする予定なのですが、ひとつ質問させていただいて宜しいでしょうか?

    ルクソールからのタクシーで、最後ルクソールのホテルに行く前に寄ってもらうのが良いのか。
    それともホテルにチェックインしてから自力で行くのが良いのか、どう思われますか?
    また自力で行く場合、アスワン駅そばのボート乗り場で交渉できますよね? というか向こうからバンバン「乗らない」と来ますよね?

    • Tomoya より:

      メッセージありがとうございます!
      私の意見ですが、ヌビアンビレッジを訪れるのは、まずはアスワンのホテルについて一息ついてからでいいのではと思います。ルクソールからアスワンまでの道中で観光地も巡りながらだと疲れると思うので。
      はい。アスワンのナイル川沿いのボート乗り場で交渉できます。またヌビアンビレッジまでは、小型のバンのタクシーもあります。

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