[モロッコ] 古都マラケシュ訪問と、アトラス山脈の秘境をトレッキング

モロッコ

アイト・ベンハドゥの集落のモハメド一家に別れを告げ、やってきたのはマラケシュ。

ようやくモロッコの南部までやってきました。

マラケシュでは旧市街に残る歴史的建造物を巡ったり、アトラス山脈でトレッキングを楽しんだり。

ボチボチとモロッコを楽しんでいます。

マラケシュで歴史感じる旧市街巡り

アイト・ベンハドゥの集落から、険しいアトラス山脈の峠道を越える。

標高3000メートルを超える山々と、そこに佇む小さな村々。

そんな美しい景色を通り過ぎ、「ここはトレッキングで訪れないと」と思いながら、車はマラケシュの喧騒の中へ到着する。

アイト・ベンハドゥの集落では、モロッコの田舎で静かな時間を過ごしていたので、マラケシュの騒々しさも楽しく感じる。

マラケシュではカウチサーフィンのホストを探すのに少し苦労したのだけれど、到着の一日前に何とか見つかったのは幸運だった。

この街でホストしてくれていたのは大学生のアヨウブと彼の友人達ヨーゼフ、エサルク、ザカリア。

彼らの多くは西サハラと呼ばれる地域の出身で、マラケシュとは一味違う文化も教えてもらい、これからモロッコの最南部に向かうのが、もっと楽しみになった。

彼らには知らなかったモロッコの文化を色々と体験させてもらった。例えばモロッコのハマム。

モロッコのハマムは、何だか日本の銭湯を思い出させる場所だった。

番頭さんがいて、脱衣場があって、温度の違うサウナが3部屋。若きも老いも一緒に体の垢を落とす。

そのハマムのボイラー室に預けて調理したのがタンジーヤ。

テラコッタの壺に市場で買った肉とオリーブオイル、ニンニクにスパイスを詰め込み、ハマムのボイラー室の余熱でじっくり煮込む。そして5時間後に壺を受け取りに行くシステム。

カウチサーフィンで地元の人々と過ごすからこそできた、素晴らしい体験だった。

タンジェでのカウチサーフィンのホストもそうだったけれど、彼らの生活スタイルは日本とは全然違う。

夕食は何と午前1:00。そして就寝。モロッコの若者に特有の生活習慣っぽい。この生活リズムにだけはついていけない(笑)

そんな彼らの家に泊めてもらいながら、昼間はマラケシュの旧市街を歩き回った。

マラケシュはモロッコ第四の都市で、歴史の中でも何度も各王朝の主要な都市として発展してきた。

そんなマラケシュには数多くの歴史的建造物が残されている。

11世紀後半から本格的な都市化が始まったマラケシュ旧市街のシンボル的な建造物は、1147年に建てられたクトゥービヤ・モスクのミナレット。

セビージャのヒラルダの塔と並び、ムーア様式建築の傑作とされ、世界で最も高く美しいミナレットのひとつらしい。

その高さは77mもあり、かつてのキャラバン隊もこのミナレットを目印にしてマラケシュまで旅したのだとか。

今でもマラケシュでは、このミナレットよりも高い建造物を建設することは禁止されている。

サアド朝時代の歴史的建造物では、16-17世紀のスルタンが葬られている美しい墳墓群が残されていたり、

現在では廃墟になってしまっていますが、同じ時代に建設されたエル・バディ宮殿 があります。

当時25年という時間をかけて、イタリア産の大理石、アイルランド産の花崗岩、インド産のオニキスや金箔で360室の壁や天井が彩られていたらしいのですが、現在ではその面影もなく廃墟のよう。

サアド朝が崩壊した後、アラウィ朝の時代に建設されたのはバヒア宮殿。

当時のモロッコ王国から腕利きの職人を集め、最上級の材料でこの宮殿は建設されました。

メクネスから運ばれた大理石。テトゥアンからはタイルが。

大理石やタイルが敷き詰められた中庭には美しい円柱や噴水が設けられ、

アトラス杉材を使用した天井にはアラベスクの彫刻が刻まれ、どこを見渡しても美しい。

こうした歴史的な建造物はマラケシュの喧騒とした旧市街にあり、小さなお店が所狭しと並んだ通りを歩いていく事となる。

フェズと同じように、かつてユダヤ人居住区があったメラ―地区があったり、

多くの飲食店がやジュースを販売する屋台があり、夜になるとさらに賑やかになるジャマ・エル・フナ広場があったり、

銀細工や革製品など各地区によってそれぞれの職人街があったり、道中に古めかしい扉だけが取り残されていたり、と歩いていて実に面白い街マラケシュ。

それでも旅行者の数は圧倒的に多く、人とぶつからずに旧市街は歩けないほど。

そんな人混みに疲れたらオススメなのがシークレットガーデン。

マラケシュの他の宮殿と同じように、アトラス山脈からの水がカナートで庭園内に運び込まれて建設された都市の中のオアシス。

素晴らしいアラベスク模様で装飾された装飾や、緑と噴水の音に囲まれて、マラケシュの都市の喧騒の中にいることを、しばし忘れさせてくれるような場所。

都市の混沌とした雰囲気がありつつも、こういったリラックスできるスポットや大きな公園があるのもマラケシュの特徴。

それらのバランスをうまくとりながら観光するのが、マラケシュを楽しむポイントかもしれない。

アトラス山脈 知られざる秘境の谷へ

アイト・ベンハドゥの集落からマラケシュに来る途中に通り過ぎたアトラス山脈。

その迫力ある姿と、通り過ぎた小さな村々の美しい風景に魅了され、せめて一度はトレッキングに行こうと思っていた。

それでも旅行者が集まるオウリカ谷や、北アフリカ最高峰のトゥブカル山には行きたくない。

そこで発見したのが旅行者のめったに訪れないであろうザット谷(Zat Valley)。

それがめっちゃくちゃ綺麗だったのでオススメしたい。

ザット谷(Zat Valley)までのアクセス方法は、
1. マラケシュ→アイト・オウリル(Ait Ourir) : マラケシュから29番バスで8ディルハム
2. アイト・オウリル(Ait Ourir)→ティゲドゥアン(Tighedouine) : 乗合タクシーで10ディルハム
3. ティゲドゥアン(Tighedouine) →さらに奥地へ : ティゲドゥアンで交渉か、ヒッチハイク

アイト・オウリルからティゲドゥアンへ乗り合いタクシーで到着。

ティゲドゥアンにはレストランや食料品店があるので、トレッキングに必要なモノはここで揃う。

この街から先へはヒッチハイクで行くか、街にいるランドローバーのドライバー達と交渉することになる。

私は谷間の小さな村も訪ねながらの旅をしようと思っていたので、谷の奥地へヒッチハイクしながら歩いていく。

緑に囲まれた山に、桃源郷のような村が佇む。

ティゲドゥアンからザット川に沿って歩いていくのですが、車通りも少なく村人以外に誰もいない。

旅行者用の設備もなく、ただただこの谷に生きるアマジヤ(ベルベル)人の村と暮らしがある。

険しい山の斜面に位置する村を通り過ぎると、村人から「サバ?」とフランス語で声がかかる。

「マニ―マニー!」と子供達からお金をせびられることもなく、この地に旅行者が少ない事がわかる。

最後にヒッチハイクした車はアダル(Adar)? *(村人から地名を聞いただけなので正確には不明)という村でストップ。

初日はここからザット谷(Zay Valley)沿いに、歩きテントで一泊。

翌日は、峠道を越えてヤゴウル高原を歩き、車道のあるAzgour付近まで下山することにした。

ここから先のザット谷奥地への道は車は通れず、細い山道が続くのみ。

断崖絶壁に、奥から姿を見せる迫力ある山々の姿。

シーンとした静けさに、川の流れる音だけが聞こえる。

モロッコの山を歩いていて感じたのが、アトラス山脈は標高の高い山を登るよりも、谷を歩く方が自分の好みに合っているという事。

現在も続く人の暮らしと、自然が共存しながら織りなす絶景がそこにはある。

何だかインド北部のラダックを思い出させてくれるような場所だ。

トレッキングした時期は11月の中旬。

アトラス山脈でも秋が深まり、美しく黄色が映える紅葉があった。

この谷の先にも集落があるようで、山羊の放牧の様子を見かけたり、ロバやラバで荷物を運ぶ村人たちの姿も見かける。

こういった人々の暮らしが垣間見える瞬間が、たまらなく好きだ。

1時間半ぐらい谷沿いに歩いたところで、歩いてきた道を引き返す。

見当をつけておいたキャンプ地にテントを張る。午後5:30を過ぎて、だれも通りかかる人はいなかった。

大きなクルミの木の下で、相変わらず風の音と川の音しか聞こえない、静かな寒い夜を明かす。

翌朝まだ薄暗い中テントから這い出ると、谷間に佇む冷たい空気を感じる。

今日は峠道を越えて行くので、うねうねと曲がる山道を登りながら、小さな小さな村を通り過ぎていく。

こんな山奥にも人の暮らしがある事に、感慨深い気持ちになる。

グーグルマップで見ても、名前もわからないような小さな村。

美しい山々や谷に囲まれ、地上の楽園のような場所に住む人々。

村の中を歩きすぎると、人々が興味深そうにバックパックをかついで山を歩く東洋人を眺めてくる。

ニコニコしながら手を振ってくれる子供達の姿がかわいらしい。

村を通り過ぎた後は、急登が続く山の斜面を峠道に向かってジグザグに歩いていく。

先ほどの村が、どんどんと小さくなっていく。

岩がちのガレ場が続く山道に、ポツポツと低木が生えている。

標高2700mほどの峠道に到着する。

山の東側にはヤゴウル高原、その先にはマラケシュがあり平原が大西洋まで続いているのだろう。

峠道を下っていくと、そこに広がるのは標高2000mに広がるヤゴウル高原。

電気も通っていない地域のようだけれど、ここにも石を積み上げて建てられた集落があった。

山から流れ出る豊かな水で地表には緑が広がり、絶好の放牧場となっている。

もちろん多くの羊が放牧されており、このあたりの景色はモンゴルを彷彿とさせる。

アトラス山脈。やっぱり山が好きなんだなぁ。想像以上に魅了されてしまった…。

帰り道はヤゴウル平原まで週末にキャンプに来ていた、モロッコ人のグループのランドローバーに乗せてもらい一緒に下車。

モロッコでは有名なインスタグラマーの方々だったようだ。後に西アフリカを旅する人もいるようなので、また再会することもあるだろう。

オウリカ・バレー セティ・ファドマの滝へ

マラケシュを離れる際、どうしても再度アトラス山脈の姿を拝んでおきたくて、やってきたのがオウリカ・バレー。

こちらはマラケシュからバスも出ていてアクセスは簡単。だけれどその分観光化が進んでいる。

本当はテント泊で適当に山を歩こうと思っていたのだけれど、幸運な事にオウリカ・バレーに住む家族にカウチサーフィンでホストしてもらう事ができた。

おかげさまで山を登るよりも、ママの作ってくれる美味しいベルベル料理を食べるのに忙しかった(笑)

彼らの住む村からも風光明媚な景色を眺めることができ、すっかりこの地方の暮らしに魅了されてしまう。冬は寒いそうだけれど。

ママが調理してくれた食材は、ほとんどが周辺地域からの品々。買っている鶏から生まれた卵。自家製バター。自家製パン。自家製オリーブオイルなどなど。アトラス山脈の恵みが詰まった味がする。

家の中にはハマムまであり、4日に一度ぐらいは使用して体の垢を落とすのだとか。

そんな彼らの家に泊めてもらいながら訪れたのがセティ・ファドマと呼ばれる村にある有名な滝。

午後になると観光客で溢れかえるそうなので、早朝に村を出発し誰もいない静かな自然を楽しめた。

カウチサーフィンでホストしてくれていたアフメッドの提案で、滝だけでなく周辺の山へもトレッキング。

アトラス山脈には、また一生の間で戻ってくるような気がするけれど、とりあえず今回は一区切りつけて南へ。

モロッコを大西洋沿いに南下していく事にする。

おわりに

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