[エジプト] 地中海の真珠アレクサンドリア 素晴らしいカウチサーフィンコミュニティの街

エジプト

都会酔いした喧騒のカイロを離れて、地中海の真珠と称されるアレクサンドリアへ。

カイロとアレクサンドリアを結ぶ料金所で、アラビア語で書いた看板を片手にヒッチハイクしていると5分で車が止まってくれた。

「私はアレクサンドリアで英語の先生をしていたんだ。今はもう退職したんだけどね。アレックスへようこそ!」

車は砂漠の道を猛スピードで地中海へと向かっていく。

海がきれいで穏やかな雰囲気のアレクサンドリアの街

やっぱり海がある街はいい。潮風に乗って流れてくる海の匂いがする。

9月中旬のこの時期は、まだまだ観光客で賑わっているアレクサンドリア。

多くの人々が海沿いの道を散歩したり、ビーチで海水浴を楽しんだり、カフェでお茶をして楽しんでいる。

ここエジプト第二の都市アレクサンドリアは、紀元前332年にアレキサンダー大王が東方遠征の途中に建設を命じ、プトレマイオス朝時代にはクレオパトラが暮らした歴史のある街。

古代ギリシア・ローマ時代には、プトレマイオス朝の首都として地中海世界の経済、社会、文化の中心地となり大きく発展しました。

しかしクレオパトラの時代を最後に、アレクサンドリアは、ローマ帝国、そしてアラブ勢力によって支配されていき、その勢いを失っていくのでした。

そういった歴史の背景から、アレクサンドリアでは古代エジプトから、古代ギリシア・ローマ時代の遺跡が多く見られるのです。

そういった遺跡の紹介は後ほどするとして、まずはアレクサンドリアの街の様子から。

アレクサンドリアに来れば外せないのが海辺の散歩。夏の温かい太陽の日差しを浴び、潮風を感じながら歩くのは最高。

道路上に植えられたヤシの木で気分はリゾートにいるよう。

海沿いの道から街の中心地に入る。

海沿いの道にはオーシャンビューを競うかのように、高層アパートが建てられています。古い建物は、新しくて、さらに背の高い建物に遮られ、常に日陰(笑)

メイン通りはヨーロッパ風の建物が多く目につき、何か華やかな雰囲気さえします。

何でしょうね。アレクサンドリアも都市なので、交通量の多い道路の横断は命懸けですし、クラクションもうるさいし、人の数も多いのですが…

何だか穏やかで陽気な雰囲気があって、歩いていて楽しいのです。やっぱり海があるからかな。

下町の市場の様子もチェックしに行きます。

両側を背の高いアパートに挟まれた、狭い路地ぎゅうぎゅうに市場が。

海の街らしく新鮮な海産物が豊富な感じ。その場で選んだ魚を焼いてくれるお店なんかもあります。

アレクサンドリアの図書館がすごいらしいとの話を聞いて、そこにも足を伸ばしてみました。

古代のアレクサンドリア図書館は、紀元前300年ごろにプトレマイオス朝のファラオであるプトレマイオス1世によって設立。

当時のアレクサンドリアは地中海において最も発展した都市の1つだったので、「古代最大で最高の図書館」「最古の学術の殿堂」とも言われ、数多くの思想家や作家たちの著作が納められていたそう。

当時は現在のような本はなかったので、パピルスの巻物が主流で、その巻物は約70万巻にものぼったと考えられているのだとか。

残念ながら、その当時のアレクサンドリア図書館は焼失し現在には残されていないのですが、かつての図書館と同じ場所に、新しく2001年に建設されたのが11階建ての新アレクサンドリア図書館です。

中には図書館の枠を越えて、プラネタリウムや考古博物館、プールまで併設されているすごい施設。

天井が高く、心地よい空間、入っただけで頭が良くなったような錯覚に陥る空間でした。外観だけでなく内装のデザインも独特で面白い。

カイロと同じく、アレクサンドリアもより賑わってくるのは夕方を過ぎてから。

もう日が落ちているのにまだ海で泳いでる人たちもいる。

夕方になり一息つきたくなったら、海沿いの道にあるアレクサンドリアで有名なアイスクリーム屋へ。3種類味が選べて100円ぐらいだったかなぁ。

エジプトの人々もアイスクリームは行列を待つほど好き。

エジプトはめっちゃ安全な国で、カイロもそうだったけれど、アレクサンドリアも夜中に安心して歩き回れるのがいい。

女の子もたくさん一人で歩いている様子で、強盗にあったなんて話もめったに聞かない。

下の写真のこちらのお店は、アレクサンドリアで一番古い花屋さんなのだとか。

雰囲気あります。

時間は23:30。この時間になっても海沿いのカフェでお茶を楽しむ人々など、外出している人でたくさん。

エジプト人の友人と遊んでいると、この辺の時間の感覚を合わせるのが大変(笑)

アレクサンドリアには最高のカウチサーフィンコミュニティがある

観光よりも一人で街歩きするよりも、アレクサンドリアで一番楽しかったのはカウチサーフィンで地元の人たちと出会って一緒に遊べたこと。

ここには素晴らしいカウチサーフィンコミュニティがあって、毎日仲間で集まって会話やイベントを楽しんでる。

カウチサーフィンは、「旅人」と「現地の人で旅人と出会いたい人」をつなげるウェブサイト。プロフィールを見て、気になったらメッセージを送って、彼らの住む町で出会ったり、彼らの家に無料で泊めてもらえる。

アレクサンドリアでも、ありがたい事に数人のお家に泊めてもらっていました。アミールに、ミナに、アブー。

無料で泊めてもらえるのでもちろん宿代は節約できるのですが、カウチサーフィンで一番楽しいのは現地の人々と交流できること。

例えば一人で旅しているだけじゃ見つからない、現地の人々に愛されるお店に連れて行ってくれたり。

下の写真はアミールが連れて行ってくれた朝食が有名なレストラン。赤い服を着た写真のお兄さんは、このレストランの人気でエジプトではちょっとした有名人らしい。

朝食でこんなにたくさん盛られて140円。エジプトの人って朝食にこんなに一杯食べるんや…。

他にも色んなアレクサンドリア中のお店に連れて行ってくれました。

食べ物だけじゃなくて、地元の人ぞ知る穴場に連れて行ってくれたり、彼らの家族や友人に出会ったり、ただ一緒にいるだけでエジプトの事、彼らについて学べるのが本当に楽しい。

色んな場所で色んな人と仲良くなって、色んな場所がいつでも帰ってこれる故郷になっていく感じ。

自分がどれだけ彼らに返せてるかは分からないけれど、日本で同じように旅人を歓迎できればと。

アレクサンドリア滞在中で一番楽しかったのは、カウチサーフィンの皆で一緒に調理した、エジプト名物ハワウシ作りだった。

ハワウシとはハンバーグの具をエジプト風に味付けしたモノをパン生地に包んで、チーズなんかを乗せて、オーブンで焼き上げる料理。

まずはパン生地の中に包む具づくり。ミンチ肉、玉ねぎ、唐辛子、ナツメグ、レモン、にんにくなどを入れて混ぜる。

それをパン生地の中に入れて包む。

アレクサンドリアでは、こんな風に中に入れる具だけを準備してベーカリーに持っていくと、パン生地を用意してくれて、オーブンで焼いてくれるのです!

きれいに焼きあがりました!こんな風に地元の人々と一緒に何かをするのってめちゃくちゃ楽しい。

これぞカウチサーフィンの醍醐味。最後はみんなで美味しく頂きました。

他の場所ではカウチサーフィンをためらっていたあなたも、アレクサンドリアでは試してはいかがでしょうか。

アレクサンドリアで訪れた観光スポット

アレキサンドリアの街の様子や、カウチサーフィンコミュニティの素晴らしさについて語りましたが、この街に点在する観光スポットも紹介していきます。

カイト・ベイ要塞

こちらのカイト・ベイ要塞は、廃墟となっていたアレクサンドリア大灯台の建材を再利用して、大灯台の跡地に建てられた城塞です。

記事の冒頭でアレクサンドリアの歴史に少しふれましたが、この街はプトレマイオス王朝時代には地中海の中心都市として発展しており、その象徴として建設されたのが高さ134mもの巨大なアレクサンドリア大灯台でした。

しかし、14世紀の大地震により倒壊。その後15世紀後半、マムルーク朝のスルタン、アシュラフ・カイトバーイが灯台の跡地に廃材を利用して建設したのが、カイト・ベイ城塞なのです。

カイト・ベイ要塞を訪れるのにオススメなのは夕方。

ここから眺める夕日やアレクサンドリアの街の夜景の景色は、絶景でした。

アレクサンドリア国立博物館

アレクサンドリア国立博物館があるのは市内中心部。元々は宮殿であった建物を改装してできた博物館で、美しい白い外観が特徴的。

内部は地下1階から地上2階まで。時代別に展示してあり、地下は古代エジプト時代、1階はグレコ・ローマン時代、2階は近代コプト教、イスラームについての展示がされています。

展示品の数が、それほど多くはありませんあ、アレクサンドリア近郊の海底で発見された発掘物など、此処でしか見れない貴重なものも。

カタコンベ

アレキサンドリアのカタコンベは1~2世紀のローマ時代に建設され、岩をくり抜いて30mの深さまである地下三階建て。

元々は裕福な一家の私的な墓所だったようですが、3世紀以降は迫害を受けたキリスト教の共同墓地として拡張され、300体以上のミイラが埋葬されていたといいます。

内部には発見された骨が展示してある場所もありました。

薄暗い中らせん階段を下って行くと、少しずつ冷やりとしてきます。

途中には小部屋があったり、石棺が置かれている場所もあったり。

墓地がある部屋に辿り着くと、側壁にボコボコと穴が空けられていて、ここに死者が埋葬されていたかと思うと背筋が冷たくなる気分。

地下室には祭室と礼拝堂が。

柱も頭柱の装飾は何だかローマっぽい感じ。

礼拝堂の壁面には、その腕に羽が生えている天使のような壁画が。

礼拝堂正面の壁面には、エジプトのアヌビス神を中心にミイラづくりの儀式が描かれています。

古代エジプトとギリシャ・ローマの宗教がミックスされたアレクサンドリアらしいカタコンベ。

セラピウム遺跡とポンペイピラー

住宅街のど真ん中、小高い丘の上に空に向かって真っすぐに伸びる花崗岩の柱。

この27mの強大な柱は、古代の図書館を支えていた柱の1本であったとか、はたまたローマ皇帝のために立てられたのか、色々と諸説があるそう。

柱の前にはスフインクスの像もある。

ポンペイピラーがある一帯は、セラピウム神を祀る神殿であったようで、敷地内には発掘された出土品やかつての柱の一部などが展示されています。

遺跡の地下部分の通路にはくぼみが沢山あり、ここにはパピルスの文書を保管していたのだとか。

まだまだ解明されていない事が多い遺跡だそうですが、歴史って面白い。

アブ・ミーナ遺跡・修道院

カウチサーフィンでお世話になったミナに連れてきてもらったのが、アレクサンドリア郊外にあるアブ・ミーナ修道院。

ローマ帝国によるキリスト教弾圧の時代に殉教した聖メナスゆかりの地。彼の埋葬された墓地の周辺から湧き出た水で病気が治ると言われ、5-6世紀頃のキリスト教徒の巡礼地となっていました。

そして聖メナスの遺体が埋葬されているとされる古代教会の近くに、建設されたのがアブ・ミーナ修道院です。

こちらが修道院の様子です。独特のデザイン。

内部はこのような感じ。普段は信心深いように見えない友人のミナですが、修道院を周りながらイコンに触れたり、キスをしたり。

週末は巡礼者でいっぱいになるのだそう。

修道院の近くに、かつて巡礼の街として発展した古代都市の遺跡があります。

上部構造はほとんど残っておらず、廃墟のように見えますが、巡礼者用の宿泊施設、公衆浴場、住居地、柱の土台などがたくさん残されています。

辿ってきた歴史を象徴するかのように、古代エジプト、ギリシア、ローマ時代の遺跡が点在するアレクサンドリア。

美しい海沿いの街の風景や遺跡巡りを楽しみながら、この街の辿ってきた歴史に思いを馳せるのも面白い。

おわりに

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