[タンザニア] マサイ族の村アンガルカ(Engaruka)を訪ねて

ウサリバー村を離れ、数日間カウチサーフィンを利用して滞在したアル―シャ。ホストしてくれたのはマサイ族の若者カイラ。

幸運な事に、彼が生まれ故郷の村に帰郷するタイミングに合わせて、マサイ族の彼の家族を訪れるチャンスに恵まれた。

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友人の故郷 マサイ族の村 アンガルカ到着

アル―シャでホストのカイラと数日過ごした後、彼の生まれ故郷のマサイ族の村へと車を走らせる。マシエンゴという村までは舗装された道が続くが、その先は砂利道を砂ぼこりを上げながら進む。

4月下旬のこの地域はまだ雨期の真っ最中。その大雨の影響で破壊されたボコボコの道を、時には川を車で渡りながら進む。

道中ではたくさんのマサイ族の人々が家畜を放牧する姿を見かけた。中でも子供たちは我々の姿を車内に見つけると、手を振ってくれたり駆け寄ってきたり。バオバブの木の姿もたくさん見かけた。

この地域はアフリカを縦断するグレートリフトバレー(大地溝帯)があり、その形成は約1000万年から始まったと考えられているという。まったく気の遠くなるような話。

道中、丘を登りきったビューポイントから壮大な景色を眺める。向こうの山のように見えるのがグレートリフトバレーの一部らしい。

後ろを振り返って見ると、これまで走ってきた道が。日本では考えられないような景色。この広大な土地にマサイ族の人々が点々と暮らしている。

写真の中央に見えるのはマサイ族のボマ(家)。

たまたま今日はマサイマーケットの日だったようで、反対側からは沢山の人々が家畜を連れて歩いてくる。カイラによるとマーケットで購入した家畜を家に連れ帰っている途中だという。

丘の上からは、マーケット帰りと思われるマサイ族の人々を後ろに乗せたカラフルな車を発見。あんなに乗って大丈夫なのか。気にするな。ここはアフリカ。

アンガルカ村について最初に向かったのは、カイラが支援する学校へ。ここでは付近に住むマサイ族の子供達にスワヒリ語を教える。

マサイ族は独自の言語マサイ語を話し、スワヒリ語は第二言語。村で一生を過ごすのにはスワヒリ語は必要ない。しかし子供たちが進学すると、進学先の学校ではスワヒリ語で授業が行われるので、それがマサイ族の子供たちの学習の壁になるという。

カイラはまずこの問題を解決するために、自らのポケットマネーで青空教室から学校を始めたという。今では立派な建物が建ち、壁と屋根に守られながら村の子供たちは学習している。

今回カイラが彼の生まれ故郷を訪れたのは、この学校に新しい椅子と机を届けるためでもあった。

トラックから椅子と机を搬入し、建物の中へ。これで60人以上いる子供達すべてが座って勉強できる環境が整った。

カイラが彼の故郷のために活動する姿に、心を動かされ少しでも寄付をする事に。こちらもヒッチハイキングしながら貧乏旅行している身なので大金は無理だけども、ノートとペンを全員分購入するぐらいならできる。

多くのマサイ族の家族は子供達を学校に行かせることに理解を示さず、カイラが彼らを説得するのにも時間がかかったという。でもカイラ自身が素晴らしい見本。

教育を受け、彼の生まれたコミュニティのために奔走している。彼の姿を見て、村人たちも子供達を学校に行かせることに納得したのだと思う。

カイラが話すには、彼のコミュニティにはまだまだ解決すべき問題がたくさんあるようだ。特に彼が今取り組んでいるのは、あまりに女性蔑視のコミュニティの姿を見直す事。家庭内暴力などがあっても女性の権利は無視され続けているという。

そのためカイラは特に女の子を学校へ行かせ、高等教育を受けてほしいと願っている。そして彼女が良い見本になればコミュニティの未来は明るい。

学校の後に向かったのは、村の中心部。もう午後5:00ぐらいだったので、マサイマーケットはほぼ終了。帰り支度に忙しい人々で賑わっていた。

中でもびっくりしたのがこの車。おいおい、このボロイ車に一体何人乗るつもり?彼ら無事に家に還れたのか?

日も暮れてお腹が空いてきたので、夕食を食べることにする。カイラに連れられて市場の奥に進んでいくと、ニャマチョマ(バーベキュー)を準備している場所が。

大きな肉の塊を鉄棒にグサッと刺し、木炭で焼く。肉はこの付近でマサイ族により育てられたもの。金持ちのマサイ族になると1000頭以上の家畜を所有しているのだとか。

近くには牛の内臓部分と薬草を煮込んだスープを販売している場所も。この薬草スープは、血液をサラサラにする効果があるらしい。無駄にする部分のない、マサイ族の命の食べ方。

夕食をとった後は、カイラが「ビールでも飲みに行こうか?」と誘ってくれたので、近くのバーに行くことに。そこにはすでに酔っ払ったおじさんたちがいて「スバイ?(マサイ族の言葉で元気?)」、こちらが「イパ(元気です)」と答えると満足げ。

マサイマーケットのある日だったので、村はいつもより活気に満ちていたよう。

夜10:00 やっとのことでカイラの家族の家へ。彼の家族のボマに入ると牛や山羊の家畜の匂いが漂ってくる。そしてこの時間にも元気に遊びまわるたっくさんの子供。

リンリンとなる家畜につけられたベルが鳴る音を子守歌にしながら、テントにて就寝。

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アンガルカ村にてマサイ族の暮らしを経験

翌朝。朝日を見るために早起き。カイラの家族も起きているみたいで、家の方からもガサガサと人の気配。マサイ族の朝は早い。

ふと遠くを眺めると、ここからキリマンジャロ山とメル―山が見える。空気の澄んだ朝方しか見えないそう。

朝の淡い光に照らされた周辺の景色は絶景そのもの。ポツポツと生えるアカシアの木が良い雰囲気を醸し出している。

だんだん明るくなってきてカイラの家族が住むマサイボマの様子が浮かび上がってきた。

ボマの作りはシンプルで木組みに牛のふんや干し草、土を混ぜて土壁を作り、屋根は干草で葺く。丸い形がかわいらしい。

マサイ族は一夫多妻制のシステムで、カイラの父は4人の奥さんがいる。それぞれの妻との間に子供がおり、彼らはそれぞれ別々のボマに住む。このボマには子供は20人以上。すごい数。

朝6:30ぐらいから彼らは仕事を開始。家族が手分けして山羊の放牧や牛の乳しぼりを始める。

家族や親子で協力して行われる山羊の乳しぼり。美しい風景の中で朝・夕と毎日二回行われる。何だか微笑ましい風景。

大人の家畜と子供は分けてキープし、乳しぼりの後に子供と大人を混ぜるのだとか。乳しぼりしすぎず、子供のために残すのがポイント。

マサイ族の彼らは毎朝・晩にとれた新鮮な山羊や牛のミルクを飲むらしく、私にも分けてくれた。搾りたてのミルクは甘くて温かい。

これは子山羊の家?

こちらは牛の乳しぼりの様子。

二枚目の写真の女性の手元に注目。かぼちゃを乾燥させて作る伝統的な容器。

乳しぼりが終わると、男たちが家畜を放牧に行き、夕方に再び戻ってくる。毎日がこの繰り返し。

マサイ族の伝統的な暮らしは美しいけれど、決して簡単ではない。水道はないので、水はロバに荷台を牽かせて近くの川へ汲みに行く。電気はない。トイレはなく自然の中でする。お尻は石できれいにする。

食事のバラエティも少ない。トウモロコシ、その粉を練ったウガリ、ミルク、肉が主食。ガスや電気もないので薪で調理。

こちらは歯を磨くために使用する木の枝。新鮮な木の枝を切って、噛んで柔らかくし、歯を磨く。これで虫歯にならないらしい。

つまようじはアカシアの木のトゲの部分で代用。

マサイ族の伝統的な暮らしにトウモロコシは不可欠。カイラの家族も家から2kmほど離れた場所にトウモロコシ畑を所有している。

トウモロコシは焼きトウモロコシやウガリにして食べるのはもちろんの事、家畜の飼料にもなる。乾燥させたトウモロコシの茎と葉は牛の大好物だという。

夕方になると、男たちも帰宅しボマの中は一気に賑やかになる。ホットミルクを飲み一息つく男たち。家畜の乳しぼりに忙しい女性と子供たち。

夜は月明かりのみ。子供達も自由。夜中の11:30ぐらいまで遊んでいる。時折男たちが踊り、歌う声が深夜になっても聞こえてくる。

マサイ族の村 アンガルカ村郊外で見たのは野生動物と絶景

カイラの家族の家に滞在中のある日、「ちょっと近くまでドライブに行こうか。美しい景色を見せたいんだ。野生動物も見れるよ」と誘われるがままにドライブ。

アンガルカ村から、ンゴロンゴロ自然保護区との境界線までドライブで行ってみることに。そこには想像を超える絶景が。

ドライブし始めてまず広がるのは美しい平原。美しい風景の中をマサイ族の人々が家畜を放牧している。

そんな中、早速野生動物を発見。タンザニアで初めて見るガゼルの姿。

面白かったのが家畜と野生動物が共生している風景。ヌーやシマウマが牛や山羊と一緒に草を食んでいる。

さらに遠くへドライブしていくとダチョウまで。まるでサファリしているみたい。こんな中にカイラは生まれ育ち、現在も彼の家族は暮らしている。別世界。

そしてまさかの、

キリンまで登場。しかも国立公園じゃないから、歩いて近づける。生まれて初めて見た野生のキリン。

この地域やけに木が少ないのが不思議だけれど、それは過去の火山活動で地域一帯の木々が死に絶えたからだそう。遠くまで見渡せる平原。天然の放牧場。

そしてカイラが見せたがっていた絶景ポイントへ到着。記憶が正しければゴッド・ホール(神の穴)と呼ばれているそう。まるで隕石が激突してできた穴のよう。

丘の一番高い場所からは遠くまで見渡せる。この道はンゴロゴロ自然保護区とセレンゲティ国立公園まで続く。

最後はオルドイニョ・レンガイをバックにセルフィ―。カウチサーフィン抜きにはできなかった最高の思い出をありがとう。

おわりに

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