[モロッコ] 西サハラの旅 大西洋沿いを南へ南へ

マラケシュからアトラス山脈を越えて、モロッコを南下中。

ついに大西洋側までやってきた。懐かしい潮風に混じった海の匂い。

ここからモーリタニアまでは海沿いに南へ南へ。

ティズニットと美しい海辺の風景

マラケシュからアトラス山脈の峠道を越える。素晴らしいアトラスの山岳風景とも、ここでお別れだ。

なかなかヒッチハイクの車を見つけるのに苦労して、途中の山村でテントで1泊して、ようやく大西洋側へやってきた。

アトラス山脈に別れを告げるのも寂しいけれど、また海岸線の風景が見えるのも楽しみ。

大西洋側の街で最初の目的地はティズニット(Tiznit)。カウチサーフィンでホストしてくれる方が見つかったからだ。

ティズニット滞在中は、彼の生まれ故郷である海辺の街を、一緒にヒッチハイキングしながら訪れたりと楽しい時間を過ごせた。

ティズニットの街自体は銀細工やミントが有名で、城壁に囲まれた旧市街もある。

小さな街らしく、のんびりとした空気が流れていて、何とも良い雰囲気の街だった。

街からはバスやシェアタクシーで簡単に海辺へも足を伸ばすことができる。

まずホストのアフメッドと訪れたのはアグロ・ビーチ(Aglou beach)。

夏になると宿泊先が見つからないほど賑わうというビーチだけれど、この冬の時期は人影もまばらで嬉しい。

アグロ村はアフメッドの生まれ故郷でもあるので、彼の実家に1日は泊めてもらい、翌日はミルレ(Mirleft)とラグジラ(Lagzira)の両ビーチを訪れることに。

ミルレではイワシの炭焼きを昼食に食べながら、ビーチでのんびり。

サーフィンの練習をしている人もちらほら。

ミルレを離れた後は、ヒッチハイクでラグジラビーチへ。

こちらは波風の浸食により海辺にできた自然のトンネルがある。

そして開放的な砂浜のビーチが広がる。

数年前まで自然のトンネルも2つあったみたいなのだけれど、崩壊してしまったという。

今までそこにあった風景は永久にあるものでなく、もちろん変わり続けていくのだ。

アトラスの山岳風景も素晴らしいけれど、このような絶景がモロッコの海岸線沿いにもあるのだ。

これからのモロッコ南下がさらに楽しみになる。

ヒッチハイクで西サハラを南下 -グェルミンからダクラまで-

ティズニットを離れた後は、西サハラの大西洋沿いの街を南へと南下していく。

サハラへの玄関口と呼ばれる都市グェルミン→タンタン→アイウン→ダクラと各都市に数日間ずつ滞在しながら。

西サハラでのヒッチハイクは決して簡単とは言えない。

運が良ければ長距離トラックが拾ってくれて一気に距離を稼げるのだが、一般の車はほぼ止まってくれない。

理由は色々とあるのだろうが、トラックも何度もある警察のチェックポイントで時間がかかるのが面倒なようで、チェックポイントを通過する時は「後ろの座席で隠れてくれ」と。

時には砂漠のど真ん中で数時間待つことも。

照りつける太陽と、シュルシュルと風が砂を運ぶ音を聞きながら、3時間の待ち時間を越えてくると発狂しそうになり、それを乗り越えると「あきらめ」を通り過ぎ、「どうにでもなれ」と悟りの域へ。

ヒッチハイクの待ち時間は瞑想の訓練のよう。

何台も目の前を通り過ぎていく車に手を振りながら、夕暮れになっても車が見つからず、ガソリンスタンドでテントを張って宿泊することも二度あった。

そんな寂しげなテントの隣に、どこからともなく3人組の男たちが現れ、おもむろに毛布を敷いて寝ていたことも。

そういえば、ときおりヒッチハイク中に砂漠の真ん中で大きな荷物を持って歩く人々を見かけたけれど、彼らは何を目指しどこに向かって歩いているのだろう。

話しかけなかったので見当もつかないが、隣で寝ていた男たちもどこかに向かう途中なのだろう。

タンタンでは何とも親切な事にヒッチハイクで出会った運転手が彼の家に招待してくれて、そこに泊めて頂いたりもしました。

ヒッチハイクで誰も止まってくれない時は、モロッコが憎くなるけれど、想像を越えて素晴らしく親切な人々との出会いも忘れてはならない。

何種類もの海産物のフライが盛り合された豪勢な一皿を奢ってくれたり、「これは私達流のおもてなしです」と、お金を払おうと思っても受け取ってくれない。

無理に払おうとすると逆に失礼かと思い、ついつい何度も奢ってもらってる日々。

もちろんカウチサーフィンでホストの方々にもめちゃくちゃお世話になった。

ヒッチハイクで疲れた体を癒すことのできる、安全な場所を提供してもらえるのはすごく助かる。

ちょうどワールドカップの時期なので、モロッコでモロッコの快進撃を一緒に応援するのは最高に楽しい体験でした。

モロッコが試合に勝つたびに街はお祭り騒ぎ。人々が大通りに集まり大騒ぎになり、車はクラクションを鳴らしながら走り回り、試合の後数時間は老若男女で喜びを分かち合う。

大西洋沿いに来たからには海産物を食べる。

海老にイカにイワシに。新鮮なシーフードが安くて美味しい!

西サハラでは、お茶にアラビアガムを少量混ぜて泡立たせる人も。

いくつかのコップを使い、上から下へと勢いよくお茶を注ぎ泡立たせていく。

正直この泡のどこが大切なのかは謎だが、泡を作る事が大切な事らしい。

先ほどから西サハラと書いたりモロッコと書いたりしているけれど、この地域は国際社会ではまだ帰属がはっきりしておらず、モロッコ、モーリタニア、ポリサリオ戦線が領有権を主張し対立している。

現在(2022年)では、通貨はモロッコと同じディルハム。食事も他のモロッコの地域で見かける物と同じ。

現在までにこの地域のモロッコ化が進んだ結果であると思いますが、旅行者から見ると完全にモロッコの一部と化しているように見えてしまう。

西サハラをモーリタニアまで南下する道路は、大西洋沿いにあり、海辺にちいさな街が点々とある。

海辺の街では人々が釣りをしたり、家族で海水浴に訪れたりと、領土問題を抱えつつもどこにでもあるような風景に何だかホッとする。

この地域には11世紀頃にイエメンからアラブ系の人々が移民し始め、彼らはサハラウィと呼ばれていた。

その後モロッコにいたベルベル(アマジヤ)人との混血が少しずつ進んで現在に至るのだとか。

海辺の街で出会った家族が「サハラウィ」という言葉を口にした途端、平穏に見えたこの地が「束の間の平和」の中にあるだけなのかもしれないという不安に襲われる。

この日は風も弱く、海と空の色は異様なほど美しくて、それは現在の西サハラの現状と重なって見えた。

これからこの地がどんな運命を辿ろうとも、この地で出会った友人達が悲しみに暮れるような日々が訪れない事を願う。

ついにモロッコ最南端の街ダフラへ

アイウンの街から、さらに500kmほど南へ下り、ダフラの街へとやってきた。

街は大西洋に弧を描きように半島になっており、半島の西側には海、東側はラグーンという美しいロケーション。

ラグーンは波が穏やかで、風が強い日が多いため、カイトサーフィンをする人々の間では有名な場所のようだ。

ここダフラでカウチサーフィンを通して家に泊めてくれていたナディルによると、ここ10年間で街は急発展しているようだ。

かつて大西洋まで広がっていた空き地には住宅が立ち並び、ホテルやリゾートまで。

治安が安定してきており投資が進んでいるのだろう。

地元の人とも話していて、現在では真夜中に一人で歩き回っても問題ないほど安全な街だという。

実際に私もメディアが煽るような危険なんて少しも感じなばかりか、むしろ安心感を感じるほどだった。

海辺の街なので、ブラブラと歩いてすぐに海に行けるのも最高。

海沿いにカフェが点在していて、海を眺めながらついつい長居してしまうようなのんびりとした街の雰囲気。

そんな雰囲気とぴったり合うように、ここサハラに住む人々もすごくのんびりとしている(笑)

海沿いの街らしく、市場には様々な種類の魚が。

現在は12月半ばで、現在は漁のシーズンではないらしいが、数ヶ月後にはタコ漁のシーズンが始まるという。

日本も西サハラやモーリタニアからは大量にタコを輸入している。

モロッコを南に下ってきて、工芸品のデザインも大分変わってきたように感じる。

色の使い方やデザインが、何となく「サハラ以南のアフリカ」に近づいてきているような。

ちなみに下の写真のおばあちゃんは、この地域の手工芸品の職人として表彰されるなど凄腕の持ち主。

またダフラ滞在中に面白かったのが、日本人の方向けにモーリタニア産のアフリカ布を購入するお手伝いができた事。

ツイッター経由で、「もし市場にモーリタニア産の布があれば、購入して日本まで発送してもらう事はできますか?」との依頼を頂き、手間賃も頂けて、面白そうだったので快諾。

ここはモーリタニアに近い事から、モーリタニア人持ち込んだモーリタニア産の布のお店がたくさん。

ラインのビデオ通話を使って、現地と日本をつなぎながら一緒に購入する作業は中々面白かった。

ただモーリタニア産の布といっても様々な品質があり、金額も様々で全てを知るのは難しい。

日本の藍染の絞り模様のようなデザインもあり、面白い色の組み合わせ。いくら時間をかけても選びきれないほど様々なデザインがある。

こちらの人々ののんびりとしたペースもあり、現地購入して日本に発送という単純な作業でも、お店が閉まっていたりと思い通りにいかない事もあり、現地でビジネスをする苦労を垣間見た気がする。

日本への発送が完了したのは金曜日。モロッコには金曜日にクスクスを食べる習慣がある。

午後のモスクでのお祈りが終わると、大勢の人々がクスクスを求めレストランに押し寄せる。

そんな人々に混じって、私も牛肉入りのクスクスを頂戴する。30ディルハムなので、日本円で400円ほど。

久々の仕事終わりのクスクスは最高に美味しく感じる。

のんびりとしたダフラの雰囲気に、特に観光をするわけでもなくダラダラと過ごした日々。何だか久しぶりにすごくゆったりとした時間を過ごせた気がする。ありがたい。

さて明日にはモロッコを去り、モーリタニアへの移動を始める。

モロッコはなんだかんだで、すごく居心地の良さを感じさせてくれる国だった。

モーリタニアではどんな出会いが待っているのだろう。いざ。

おわりに

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