合計で10ヵ月以上も滞在していた中東地域をついに出発。ヨルダンからイタリアへと飛行機を使って、夏のヨーロッパへやってきた。
今度はここから少しずつ西へと旅を進め、ついには西アフリカまで陸路で到着しようという魂胆であります。
西へ向かう途中に立ち寄りたかったのがヨーロッパ屈指の山岳国スイス。そこで想像以上の楽園のような景色を目にするのだった。
イタリアのミランからスイスのツェルマットまでヒッチハイク
ヨルダンの空港を飛行機が出発したのは午前00:30。イタリアのマルペンサ空港に到着したのが確か午前4:30。
ここから空港の到着ロビーで少し仮眠をとってから、ヒッチハイクを開始する。
イタリアでは高速道路でのヒッチハイクは違法。そのため小さな村々を通る一般道でヒッチハイクをすることになる。
果たしてどうなる事やら。
空港を出発したのは午前6:30。ヨルダンで買っておいたナッツミックスを朝食に頬張りながら車を待つ。
幸運な事に空港から最寄りの街までは、すぐに車が見つかる。そして二台目、三台目の車も簡単に。
20km毎だけれど、5年前にも目にしたイタリアの田舎町の美しい風景を目にしながら進んでいく。
空港からアローナという美しい湖「マジョーレ湖」の畔の街までは何とか順調であった。
しかし…ここからが難関だった。
待てども待てども車が止まってくれない。20kmほどの距離のために1時間、2時間待つこともあった。
それでも小さな村でビスケットや水の差し入れを下さる人々に出会い、イタリア人のフレンドリーで陽気な国民性と、ヒッチハイクの難しさの間にあるギャップを不思議に思わざるを得ないのであった。
そんなこんなでスイスとの国境に近い村ヴァルゾに到着したのが午後17:00。スイスのツェルマットまでは直行でも2時間かかる。
そして待つこと18:00、そして19:00。この時間にさすがに国境を越えてスイスに行く人はいないようだ。
しょうがないので今夜はあきらめて、この村で野宿することに。
少し村を歩き回って、地元の人に「どこかテントを張れる場所がありますか?」と聞くと、家の裏庭に案内してくれた。
イタリア語は分からないけれど、スペイン語でゆっくり話すと言いたい事は伝わるのが助かる。
この時、時刻は午後20:00。7月中旬のヨーロッパでは、未だに一向に暗くなる気配がなく空は明るい。
気持ちを入れ替えて、この山間部にある田舎の村を歩き回ってみることに。
イタリアの村で感心するのが、昔ながらの古い建物がよく保存されており、現在でも住居として使用されている事。
村の中を歩いていると、気分は中世の村を訪れているよう。
知らなかったのだけれど、この村では観光業も少し盛んなようで観光客も見かけた。周囲にはトレッキングが楽しめるルートなども多数あるようだ。
朝からまともに何も食べていなかったので、せっかくだからとピザを注文。大きいピザで5€。
やはりイタリアで食べるピザは美味しい。
翌日朝の6:30に起きると、そのままヒッチハイクを開始。
長時間待つことになるのだけれど、周囲の景色が美しいので、それほど苦にはならない。
そしてついに一台の車が止まってくれた。
何と彼女はモンベルのファンで、私のモンベル製のレインカバーを見て、止まってくれたとの事(笑)
モンベルに救われ、スイスへの国境を越える。そこから氷河や4000m級の山岳地帯が望める絶景の峠道を走っていく。
スイスでのヒッチハイクは、めちゃくちゃスムーズ。15分と待たずに車が止まってくれ、無事にツェルマットへ。
最後のドライバーは、「2週間借りているアパートには空き部屋があるから、泊まるところがなければ使ってもいいよ」と。なんて親切な。
スイスにはツェルマットのみで5日間しかいなかったのだけれど、もっと滞在したいと思わせてくれる親切な人々との出会いも印象的だった。
自然の楽園ツェルマットで絶景のトレッキング
世界中のアウトドア好きが集う観光地ツェルマット。
ツェルマットの象徴的存在であるマッターホルンの鋭く尖った山頂が天へと突き出る。
テレビや写真で目にして憧れていた景色を目の前にするのは感動的な瞬間だ。
ここツェルマットでは幸運な事にカウチサーフィンでホストしてくれる人がみつかった。
でなければ物価のめちゃくちゃ高いスイス、特にツェルマットではやっていけない。
そしてホストの家からはマッターホルンが一望できるという、贅沢なロケーション。
街中にはレストランやアウトドアショップ、スキーレンタル、お土産屋、マッサージ屋、ホテルなどアウトドアアクティビティが売りの観光地に必要な設備は全て揃う。
ツェルマットでは新しく建物を建てる時に、外観をスイスの昔ながらの伝統的な建築にしなければならないため、街の景観も山岳風景とよくなじんでいて美しい。
またツェルマットにはヨーロッパ各国から季節労働者が集まり、ここで働く人々はかなり国際色が豊か。
物価は高いけれど、ス―パマーケットで食材を買って自炊すれば日本とそれほど変わらないような感覚だった。
4000m級の山々の谷間に位置するツェルマットの周囲には、各人のレベルに合わせたトレッキング、マウンテンバイク、スキーやスノーボードのコースがたくさん。
登山に慣れていない人でもケーブルカー(値段めっちゃ高い)を使えば、氷河に囲まれた景色の中にも簡単に飛び込める。
私の場合は節約しながら旅をしているので、ケーブルカーの類に払うお金は持ちあわせておらず。
自分の足のみで登った3つの絶景のトレッキングコースを写真も交えて紹介したいと思います。
ツェルマットで、できるだけお金を節約しながら楽しみたいという人々の参考になれば。
Wisshorn(2936m) 登山者の少ない穴場と360度のパノラマビュー
ツェルマットは世界的に有名な観光地。よって観光客も多い。
そんな中マッターホルンや氷河の絶景を、人の少ない静かな環境で楽しみたいという人にオススメなのが、このWisshorn(ウィスホルン)。
標高差は1300mほどで、往復で所有時間は7時間ほどのコース。
まずツェルマットから森林地帯を抜けて、急登を登っていく。
森林地帯を抜けたところにある山小屋のエーデルワイス小屋を越えると、谷間に流れる渓流沿いに歩きさらに標高を上げていく。
そして目の前に広がるのは、森林限界の先に広がるゴツゴツとした荘厳な山々。
そんな山々に近づくように歩いていく先にあるのが、2377mに位置するトリフト(Trift)小屋。
登ってきた谷間の間から反対側に見えるのは氷河がある4000m級の山々。
トリフト小屋を後にして、どうしても目の前に見える氷河がある岩山に好奇心が抑えられず、通常のトレッキングコースを外れて山の方向へいけるとことまで直進。
そこからは、氷河とそこから流れ出る川が一望できた。
さらに振り返ると、谷の向こう側にも素晴らしい風景。次はあそこに登ってみよう。
元のトレッキングルートに戻り、ウィスホルンまで急登歩きを再開。
ルート上では放牧されている羊達と遭遇した。顔面が黒いのが特徴的。
マッターホルンの先端部も姿を現す。
登山ルートには、行先やそこまでの距離を示す標識も整備してあり、ルート探しに困る事もなかった。
そして頂上に到着するころには、360度のパノラマビューが広がる。
こんな景色がヨーロッパにもあるのだと、スイスの自然の美しさに感動です。完全に過小評価していました。
1時間ほど頂上でのんびりと景色と新鮮な山の空気を堪能した後、下山開始。
頂上のパノラマビューを名残惜しく感じながら、麓のツェルマットへと戻るのでした。
Pfulwe(3354m) 絶景の湖を経由しながら、氷河を見下ろす山頂に辿り着く
登山当日、朝6:30に目覚めると空は灰色に覆われた曇り空。
それでも天気が好転することを信じて、一歩一歩と目的地のプフルエ(Puflwe)山頂に向かい進んでいく。
山の天気が変わりやすいのは、誰もが承知のはず。
そしてツェルマットでは天気予報さえ信用できない。
たとえ雨や雷を伴った暴風雨の予報だとしても、一日中晴れが続く日だってあった。
幸運な事にこの日も天気は好転。熱波が続くヨーロッパでは今年特に雨が少ないのだとか。
森林地帯と小さな集落を経由しながら急登が続く。
いくつかの湖を遠目に眺めながら歩いていくと、目の前に美しいステリッセ(Stellisee)湖が現れる。
湖に住む魚が見えるほど透明度は高く、湖と共に氷河を湛えた山々、振り返るとマッターホルンも見える絶景スポット。
この湖の先にある山小屋(Fluhalp)を越え、さらに先へ。
後ろ側に見えるマッターホルンを度々振り返りながら登っていく。
通り過ぎていく小さな湖では、放牧された羊たちが水を飲んでいる姿も。
羊たちが水を飲んでいた湖のガレ場に見つけた小さな轍。
通常のトレッキングルートではないけれど登ってみると、そこには美しい氷河が姿を現した!
再び通常のルートへ戻り、さらに標高を上げていく。
ガレ場に残る轍を登り体力的には疲れるけれど、絶景が少しずつ近づいてくる。
ケーブルカーも無いので、ここまで登ってくる登山者は少なくて良い気分。
ついにプフルエ(Pfulwe)頂上へ。
まず最高なのが、この氷河を見下ろす絶景!
そしてマッターホルンを含む、絶景のパノラマビュー!
こんなトレッキングルートが無数にあるのだからツェルマットは、そりゃあもう大勢の観光客が訪れるわけです。
あぁ…もっとスイスに滞在しても良かったかも。また戻ってくる、
Höhbalmenループ マッターホルンを眺めながらの絶景ルート
最後に紹介するのがHöhbalmenループ。
Höhbalmen(何て読むのか謎)までツェルマットから登り、そこからマッターホルンを眺めながら歩く。
そして谷へ下りFuriまで歩き、吊り橋を渡ってツェルマットまで戻ってくるルート。
下の写真のようにマッターホルンを眺めながら歩けるのが最高なルート。
まずは他のトレッキングルートと同じく森林地帯を歩いていく。
2600mまで一気に直登なので、それはそれは急登を登ることになります。
徐々に景色が広がってくる。
そしてHöhbalmenまで登り切った先にはマッターホルンの絶景が待っている。
Höhbalmenからは、標高2600mほどをキープしながら絶景が続くトレッキングルート。
まるで楽園。これ以上美しい風景に出会うのは中々難しいと思えるほどの風景が続きます。
しばらく歩き続けると、ついに下り道が始まり、徐々に標高を下げていきます。
これまで見下ろしていた谷間へと、トレイルは続いていきます。
高地から見下ろす絶景も名残惜しいのですが、谷間にも美しい川が流れていたりと、また違った風景が楽しませてくれます。
さらに氷河が溶けだして流れる川が滝になり、大地に降りそそぐ。
何だか記事を書いている間にも、再びツェルマットに戻りたくなってくるような気持ちがします。
こんな風景の中を歩きながら下山すると、再び森林地帯へ。
Furiの谷間を結ぶ吊り橋に寄り道し、ツェルマットへと帰路に着きます。
今回はフランスでのワークアウェイでボランティアとして滞在する計画が決まっていたので、スイスには長期滞在できませんでした。
しかしまた戻ってきたいと思わせてくれるような壮大な自然と、想像以上に楽しい人々に出会うことができました。
また戻ってくる機会と、タイミングあるかな…。
おわりに
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