さよならアンデス、1ヶ月後にまた会おう。アンデス山脈の麓を離れ、300kmほど南東にある、サン・ラファエルへ。山の暮らしとは、また少し違ったアルゼンチンの暮らしが体験できるかな。
気づかない間に、もう10月。アルゼンチンに来て、もうすぐ3ヵ月が経とうとしている。時が流れるのは早い。
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サン・ラファエル近郊の農場に2週間ほど滞在
現在滞在しているのはサン・ラファエル。乾燥した地域でありながら、周辺を流れる川からの灌漑によって町の周辺には緑が広がっています。町の周りにはワインを作るためのブドウ畑、広大な放牧地、農場などが、広がっています。
オリーブのプランテーションもあり、オリーブオイルを作る工場もあります。メンドーサ州で2番目に大きな町らしいですが、町の中心部にも高層ビルなんかは全くないほどの、のんびりした町。
サン・ラファエルで温かく歓迎してくれたのは、ラウタロとモニカ一家。彼らは生物学の先生で、ソフィア、アブリル、マヌエルの3人の子供もいます。
サン・ラファエルにある家に到着すると、早速自家製のピザで歓迎してくれました。ピザにはファームで採れたアスパラガスがトッピングされています。サラダのレタスも畑から採れたもの。
自分たちで育てた野菜や食材を調理して食べる生活って素敵だなーと思うし、すごく憧れてしまう。日本でもそんな暮らしができればよいけれど。
翌日の午後、町の中心部から10kmほど離れた場所にあるファームへやってきました。ファームの総面積は3ヘクタールほど。1ヘクタールの土地に家や野菜畑があり、残り2ヘクタールほどは、まだ本格的には使われていません。
この農場はLauteroの両親が購入し、過去に住んでいた土地のよう。家族は現在市内に住んでいるが、毎日畑仕事と動物の世話のために、ここにやってきます。そして一緒に農作業。
野菜はレタス、ニンジン、玉ねぎ、にんにく、パセリ、カボチャ、トマトのが植えられています。リンゴ、くるみ、オリーブの木なども。夏になると畑全体に緑が広がって、ほとんどの物は自給自足できるそうです。動物はロバ、ウサギ(食用)、鶏(卵用)が飼育されています。子供達も動物と毎日ふれあって楽しそう!
畑への肥料としては、主にロバの糞や鶏糞、また近くの農場から購入している豚の糞を使用しています。肥料のやり方は、野菜を植えている両側に穴を掘って、そこに丸太などの大きなものを底に敷き、その上に野菜の粕や有機物を乗せていく。
野菜は栄養のある左右の土まで、根を伸ばしてそこから栄養分を吸収する。ウクライナで教えてもらった、マリナとマクシムのしていた方法と同じだ。野菜が美しく育っているのを見れば、この方法がうまくいっているのがわかる。日本に帰ったら同じようにしてみよう。
土地を囲むようにポプラの木が植えられています。これは風から畑や家を守るためでもあります。ときおり台風のような、ものすごい突風が吹きあれる日などもあるよう。そうすると、野菜などもダメになってしまうので、このような対策は必須。
何でもサン・ラファエルでは雹が降るのに最適な気候になっているようで、毎年数回は降るよう。そのため、気の杭を野菜ベッドに沿って立て、その上部に黒い網上のネットを張って、野菜たちを守っている。
そんな農場の仕事を手伝いながら2週間ほど一人で住むことに。ここでの生活は、まるで一時代前の生活に戻ったような感覚。もちろんWifiはなし。部屋を暖めるためには、薪で火を起こさないといけない。お湯を使用するためには、外にあるタンクに水をやはり薪で沸かす必要がある。
こんな経験ができるのも貴重なことかもしれない。自分がどれだけインターネットの中毒にかかっていて、すぐそばにある自然や静かでゆったりとした時間を楽しむことを忘れているかに気づく。そしてどれだけ便利な生活をしているかも。
だいたい毎日朝8時ぐらいに起きて、朝ごはんを食べて9時から農作業をします。朝ごはんはニワトリが生んでくれた、とれたての卵と畑でとれたネギでオムレツを作って食べる。また農場で採れたはちみつとラズベリージャムをパンにつけて食べたり。
朝の少しひんやりとした空気だったり、一日の始まる喜びを表現するように小鳥がさえずる歌を聞きながら、ゆっくりと体全体を起こすように、朝ごはんを食べて農場の仕事にとりかかります。
朝はだいたい2時間から3時間ぐらい働きます。仕事内容は様々。コンポストを畑にまいたり、雹から畑を守る黒いネットを張ったり、ラズベリーの植え替えをやったり。おもしろかったのはキノコの栽培。2日間丸太を水につけて丸太を3分割して、そこに木くずとキノコ菌をはさんで、釘でまたもとの形に戻す。
そして黒いビニールシートにつけて3ヵ月待つと、キノコの収穫ができるらしい。栽培を始めて10日間ほどで、かなり菌が繁殖してきました。最終的には丸太が真っ白になるそう。
朝の仕事が終わるとしばらく休憩。昼ご飯を食べて、夕方にホスト家族がやってくるのを待ちます。この時間に楽しかったのは、農場の周りを歩きまわること。
この辺りには野生のアスパラガスが大量に生えており、歩きながら収穫しているとすぐにポケットはいっぱいになります。今までの人生でこんなにアスパラガスを食べたことない。
ホスト家族と一緒に農作業をして、夜になると温かいシャワーを浴びるために、お湯を沸かします。ユーカリの葉っぱがよく燃えるので集めて、小さな枝をその上に乗せて、少し大きめの薪を一番上に。マッチで点火して、タンクのお湯を沸かします。
少し手間がかかるけれど、そのぶんだけ温かいシャワーを浴びる時に、いつも以上に喜びを感じる。現在は便利になった世の中だけれど、こういった小さい事から得られる精神的喜びの機会が、少し失われているのかもしれません。
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サン・ラファエル周辺も少し探検
日曜日は30kmほど離れたReyunosという場所にママチャリで行きました。いやーかなりきつかった。帰ってきた後の疲労が半端なかったです。日曜日ということもあり、自然のきれいな場所でアルゼンチンの定番アサド(バーベキュー)をしている家族が至る所に。
各町には必ずアサドをするための公共バーベキュー施設があり、アルゼンチンの人々は友人達や家族との時間を楽しみます。自転車で走っていると肉のにおいが色んな場所からぷんぷんと漂ってきました。
Reyunosは人工的な湖とダム、水力発電所とまあそんなに面白い場所ではないけれど、まあまあきれい。小さなグランドキャニオンのよう?ここで歩いていると、初めて赤いサボテンの花を見ました。しかし誤ってサボテンを踏むと、大量のトゲが靴に刺さる。
Wifiを使うために行った空港で、偶然出会った警察官のカルロスとその家族と一緒にValle Grandeまで一緒に釣りをしに行ったりもしました。Valle GrandeもReyunosと同様に小さなグランドキャニオンみたいでした。両側にごつごつとした岩山がそびえ立ち、その間をきれいな川が流れる美しい場所。
ここはサン・ラファエルでは定番の観光地になっており、観光客がボートに乗って湖を遊覧して楽しんでいたりします。川でラフティングなどもできるよう。やっぱり川のほとりでは友人や家族同士で、ピクニックに来ていて、マテを飲んだり、アサドをしたりしているアルゼンチンお馴染みの光景。
そんな中、我々は湖に釣り糸を垂らしてフィッシング。サラミをエサにして3時間ほど釣りをしましたが、何と1匹も釣れず。釣った魚で寿司を作るという野望は実現せず。
カルロス家族は2年後に四国遍路を歩くために家族で日本を訪れるそう。今から日本語も少しずつ勉強しているという気合の入りっぷり。日本の文化とホスピタリティにどっぷりつかって楽しんでくれたらいいな。
ヒッチハイクでネウケンへ
サン・ラファエルを去る時が来て、ホスト家族が朝ヒッチハイク場所まで送ってくれたのは朝の8時頃でした。今日の目的地はネウケン。約600kmほどサンラファエルから南に位置しています。ネウケンに到着後、ついにパタゴニアに突入します。
今日1日でネウケンまで到着できればという希望を抱きながら、サンラファエルで1時間待って、まずは20km程進みます。次の小さな町でも同じぐらい待って20km程進み、長時間待つ上にまったく長距離を移動できません。うーついてない。
さらにその後ガソリンスタンドで、5時間ほど待っても誰も止まってくれません。通過する車の数自体もすごく少ない。夕方の5時になって、ようやくサンタ・イサベルまで行くトラックを発見し、乗せてもらいました。
今までの経験上、普通車はほとんどアルゼンチン(都市部?)ではヒッチハイカーのために止まってくれません。犯罪が多く、みな恐れているそう。現在はパタゴニア地方にいるのですが、ここでは反対にかなり簡単にヒッチハイクができます。
サンタ・イサベルに到着したのは夜の9:00。もう時間も遅いので、ガソリンスタンドでテントを張らせてもらいます。アルゼンチンのガソリンスタンドはキャンプに寛容。敷地内にテントを張らせてくれますし、Wifiもあるし、ドライバー用のシャワーだって。テントさえあればなかなか快適に過ごせます。
翌日は8:00からヒッチハイクを開始。この日は運よく30分ぐらいでトラックドライバーのおじさんに拾ってもらえました。しかもネウケン直行便!おじさんの年齢は62歳。バイクやロックンロールが大好きだけれど、お酒は飲まない。40年間ドライバーをしていて、ブラジルやボリビアチリなどにも行くそう。24日働いて、6日間休みがある生活。
「ヒッチハイカーをピックアップしてきて、何か嫌な思い出はありますか?」と質問すると。「嫌な思い出はないけれど、、、」と言いながら、後部座席から出てきたのは銃。わかりました、悪い事はしません。
ヒッチハイクで拾ってもらう人々と話して、大分スペイン語の勉強にもなっています。まだまだ本当に初級だけれど、スペイン語のみでもだんだんコミュニケーションができるようになってきたのが楽しいです。
ネウケンに到着するまでに、ラ・パンパ地方の一部を通り抜けます。乾燥した大地に道路が一本すっと伸びている。周りには平原、平原、平原。何もない。5時間後ようやく目的地に到着。長い道のりでした。
ネウケン
ネウケンに到着すると、ホストのニコラスが温かく迎えてくれました。ロングヘア―のロックンローラー兄弟。弟のルロはプロのミュージシャン。自分で曲作って歌って。すごくうまい。
到着してすぐに準備してくれたのは、ホームメイドパスタ。夜は激ウマアルゼンチン牛肉に野菜を詰め込んだごちそう。ニコラスすごいシェフです。ビールを飲んで。アイスクリームまで食べて。最高の水曜日でした。
「どうしてこんなに良くしてくれるの?」と聞くと、「これがアルゼンチンだ!」と。そしてその後の滞在でも、アルゼンチンの若者文化を満喫することに。
ネウケンはパタゴニア最大の都市。アルゼンチン石油産業の中心地という事で有名ですが、肥沃な土地や水資源にも恵まれ、農業も盛んです。
地元の人に聞いた話によると、もともとネウケンはパタゴニアの小さな村であったそうです。しかし石油の埋蔵が確認され採掘がスタートすると、急激に人口が増加し現在のような都市になりました。
ネウケンは石油産業で潤っている都市というイメージから、近代的なコンクリートで固められた都市をイメージせいていたのですが、現実はかなり違っていました。町の中にきれいなリマイ川が。良い天気の日にはたくさんの人が川沿いでリラックスしています。
さぁここネウケンで学んだのはアルゼンチンの若者の遊び方。ニコラスが「今日は友人が来るから、家でパーティーをしよう」ということに。ファルネットやビールはもうあるから、材料を買ってピザを作ったりしようと。
さてここからが日本とアルゼンチンの違い。パーティーは20時になっても、22時になってもなかなか始まりません。やっと友人の一人がやってきたのが23:30。そこからパーティースタート。
「今日はかなり少ない人数だけど」と言って集まったのが10人。彼らの好きなロック音楽をかけて、ビールやワインを飲んで、ピザを食べながらしゃべる。
午前3:00。「少し小腹が減ったな?この時間だとマクドナルドしか空いてないけど」とハンバーガーを買いに行く。そして食べて、また飲んで。ついにパーティーが終わったのは朝の6:00。こんな朝まで起きていたのは久しぶり。
翌日起きたのは昼の13:00。そしてニコラスが「今日は弟のルロがバーで演奏するので、一緒に見に行こう」と。「何時に演奏が始まるの?」「演奏が始まるのは朝の午前1:00。友人も来るからそれまで少し飲もうか?」
2日連続でパーティー、そして夜更かし決定。ライブが始まったのは午前1:30、そして終わったのは午前4:00。日本とは全然違う時間感覚にカルチャーショック。久しぶりにこんなに夜更かしして遊びましたが、これもアルゼンチンならではの経験でしょうか?
しばらく田舎で自然に囲まれて生活していたので、アルゼンチンの都会の若者の生活も経験できて楽しかった。でもこれがずっと続くと体がもたないわ。
おわりに
ブログの更新が遅れていますが、現在はパタゴニアの自然がきれいな地域、サン・マルティン・デ・ロス・アンデスやサン・カルロス・バリロチェにいます。アンデス山脈の麓に位置し、湖やラグーン、美しい川に囲まれた、とんでもなく美しい地域。近いうちにまた近況報告します。
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