ガーナ北部、サバンナ地方の旅路の途中。
数日間滞在したワの街を離れ、ガーナ・ブルキナファソ間国境沿いの道を通り、ボルガタンガという街を目指す。
この時期は日中気温が40度を超す日々が続く灼熱の日々。
止まらない汗を拭いながら、ヒッチハイクで次の目的地を目指す。
ボルガタンガ 想像もしていなかった伝統儀式との遭遇
数日滞在したワの街を離れ、ボルガタンガへのヒッチハイク。
このヒッチハイクが大変だった。なんせ道が舗装されておらず、ガタガタのガッタガタ。
乗せてくれたトラックも時速15-20km程しか進まない。
そして、まずこの道を通る車がほとんど見当たらない。
多くのトラックはこの道を避けるために、ブルキナファソ経由でガーナに戻ってくるそう…
そんなルート上で、3時間以上車を待っていたグムルという村では、座り込む私の姿を見かねて村人から水やマンゴー、軽食の差し入れを頂いた。人の優しさが身に沁みる。
結局のところ初日は中間地点のトゥムという街までしか辿り着けず。その日は街の外れの病院の敷地内でテント泊。
翌日早朝にボルガタンガ行のトラックが通りかかり、奇跡的なヒッチハイク成功!飛び跳ねるほど嬉しい。
早朝にヒッチハイク成功したので、かなり時間に余裕があるということで、途中ナブロンゴという街でにも立ち寄る事ができた。
というのもこの街にあるユニークなカトリック教会を見物したかったからだ。
ナブロンゴ教会の建築はユニークで、ヨーロッパとアフリカの影響が融合した特徴的なもの。
土と茅葺きの組み合わせが特徴で、土壁は熱からの断熱効果があり、このサバンナ地域の暑い気候下でも内部の気温を涼しく保つ。
さらに教会の中には、素晴らしいアートで彩られている。
教会を訪れたタイミングで、丁度女性たちが床にできた穴を塞ぐ作業をしていて「あんたも写真撮るんだったら手伝っていきな!」と言われ、少しだけ仕事を手伝うことに。
誰かここを訪れる人がいれば、私の手もはいった新しい床に注目どうぞ。
ナブロンゴの教会のおばちゃん達に別れを告げ、目的地のボルガタンガへと到着。
ボルガタンガでは、カウチサーフィンでモーゼスのお宅に滞在させてもらう。
街の郊外のトイレもないような質素な家だけれど、私のために自分の寝ているマットレスを譲ってくれて、自分は床で雑魚寝するような優しい奴。
彼の住んでいる地域には、大きなバオバブの木がたくさん植わっていて、以前滞在していたボレやワからもあまり距離が離れていないにも関わらず、環境は変わるものだなと。
ボルガタンガの街自体は、個人的に特に見所があるとは思えなかったけれど、とりあえず市場を訪れる。
一番目立ったのは、巨大なヤムイモがゴロゴロと転がる一角。
トラックの荷台一杯に積まれたヤムイモ。ガーナの食生活には欠かせない。
また市場の片隅の建物の中では、この地方の伝統衣装スモークが裁縫されていた。
現在でも日常生活で人々が身につけているのが素晴らしくて美しいと感じる
ボルガタンガの街自体に見所はあまりないと書いてしまったけれど、街の郊外には素晴らしい自然や伝統が息づいていた。
まず訪れたのはトンゴの丘(Tongo HIll)。
トンゴ・ヒルは、古代の伝統的な神殿や岩の形状が特徴で、地元のタレンシ族にとって大きな精神的・文化的な意義を持っています。タレンシ族は、主にトンゴ周辺地域に住む民族で、トンゴ・ヒルを聖地とし、伝統的な宗教行事の中心地と考えています。
この丘は、天然の浸食によって数世紀にわたり形成された花崗岩の巨石と岩石群から成り立っています。これらの巨石は、タレンシ族によって保護的な力と癒しの力を持つと信じられています。トンゴ・ヒルの精神的な意義は、先祖の霊や神々への信仰と関連しています。
From chat gpt
トンゴの丘は、大きな岩がゴロゴロと点在している不思議な丘だった。
ある岩はダルマ落としのように積み重なったり、岩の間にできた空洞が洞窟のようになっている場所も。
何か不思議なエネルギーを感じる場所。
周辺には伝統的な暮らしが残る集落も存在し、トンゴの丘をトレッキング中に訪れた美しい村では、現在でも伝統的な円形の家屋を目にする事ができた。
しかし徐々に現代的な直線的な建物に置き換えられていっているようだ。いつかはこの風景も変わっていく。
そんな不思議で伝統的なトンゴの丘をトレッキング中、丘の頂上に辿り着くと、麓のインドリ村の方向から賑やかな音楽が聞こえてくる。
どうやら多くの人々が集まっているようだ。
一体何だろうと思いながら、気になって近寄っていくと何やら伝統的な儀式が行われているようだった。
彼らの伝統宗教の神社と思われる建物の前では、牛二頭がすでに生贄にされている。
インドリ村の神社にも儀式用の飾り?が供えられ、周辺のコミュニティから集まってきたという人々が集う。
そしてしばらくすると、美しい伝統衣装に身を包んだ村人たちが神社に向かって歩いてくる。
牛の角が印象的な帽子、動物の毛皮を腰に着けて、身につけている衣服の刺繍も素晴らしいし、弓矢や剣などを携えている。
まったくこのような光景に儀式に出くわせるなんて、想像もしていなかった。
周辺の人々に尋ねてみると、どうやら村で尊敬されている人が亡くなったので、伝統的な葬儀が行われているようだ。
当日の午前2:00に始まり、ここから4日間続くという。
せっかくなのでトレッキングを中断し、彼らの儀式を見物することにする。
神社にやってきた彼らは、太鼓と笛のリズムに乗って踊りながら移動を開始する。
どうやら各集落を訪ねながら、村中を歩き回るようだ。
撮影の許可ももらったので、彼らに少しついていく事にする。
気づいたのが彼らが神社の周囲を周る時も、村中を歩く時も、必ず反時計回りに歩いている事。
きっと何か意味があるのだろう。
そして丘陵地帯に位置するインドリ村の美しい風景、巨大なバオバブの木、伝統的な建物。
伝統的な衣装に身を包んだ集団は、各コミュニティで止まり、踊ったり、儀式を行いながら進んでいく。
そして村中を歩き回った後、インドリ村で神聖とされている丘へ。
この丘には村の人以外登る事は許されてはいない。
その丘の麓で儀式を行った後、彼らは一斉に丘の頂上へと駆け上がる。よそ者の私は丘の麓で彼らの様子を窺う。
そして丘を駆け上った後、彼らが慌てて叫びながら丘を駆け下りてくる。「へぇ~これも儀式の一部なんだー」と彼らの様子を眺めていると、どうも様子がおかしい。
めっちゃ面白いオチなんだけど、どうやら神聖とされていた丘の頂上にある木。この木に大きな蜂の巣があったよう…
でみんな蜂に襲われて慌てて逃げて駆け下りてきたという(笑)
その後はみんなテンション下がって、誰も丘の上には戻ろうとしなかった…。
そんな出来事がありつつも、最後の儀式のために村の神社へと戻ってくる。
最後に長老のような方により、物語が語られ、この日の儀式は終わったようだ。
儀式が終わった後は、ジャンベを持った音楽隊がやってきて、そのリズムに合わせて楽しそうに人々が躍る。
いやー!こんな素晴らしい伝統行事にたまたま遭遇できるなんて本当にラッキー!
儀式に参加していた人々にも「撮った写真を送ってねー!」と言われ、当日の夜に整理して送信。
4日後の葬儀の日にも是非来てくれとの事だったので、またもや再訪することに。
そして4日後に実際に訪れたのだけれど、前回のような伝統衣装や儀式はあまりなく、神社の中で女性たちが踊り、生贄にされた家畜の肉を村中で分け合っていた。
神社の中は神聖なものと思っていたけれど、私も入って問題なし。
最後に儀式を訪れていた方々にビールとお肉を奢ってもらって、ボルガタンガの街へ。
ガーナのインドリ村。偶然訪れた場所だったけれど、一生忘れられない場所になった。
またボルガタンガの街の近郊にはもう一つ面白い場所がある。それはボンゴの丘だ。
こちらの丘にもトンゴの丘と同じく、巨大な岩がゴロゴロと転がっている。
ここには2つの丘があって、どちらの頂上からも周辺の素晴らしい風景が広がる。
そして個人的にお気に入りのバオバブの木々。
ボルガタンガの博物館によると、ボンゴの丘では様々な古代の陶器や石器が発見されたりと、様々な考古学発見もあったそう。
ガーナ北部のボルガタンガ。
なかなかこんな場所まで訪れる人は少ないかもしれないけれど、伝統的な暮らしが息づく北部は、南部の旅とは違った面白さがあると思う。
タマレ ガーナ滞在最後の街で面白い美術館を発見
ボルガタンガに続いて、やってきたのはガーナ北部で最大の都市タマレ。
この街ではカウチサーフィンでカミラ一家にお世話になっていた。
彼女らにガーナ料理の作り方(ワチとシト)を教えてもらったので、日本に帰ったら挑戦してみたい。
ワチは日本の赤飯のような感じ、シトはニンニク、ショウガ、エビペースト、胡椒、唐辛子、油を混ぜたペーストで日本にもありそうな味で、めっちゃ美味。
タマレを歩いていて、印象的だったのは変わったデザインのモスク達。
タマレではガーナでもイスラム教徒率の高い街だそう。
そして北部最大の街らしく、大きな市場も歩いていて楽しい。
たまたま街の人から聞いて訪れてみたタマレの王様と、女王の母の墓。
上部はセメントで固められ、地下に埋葬されている。
王族は特殊な方法で埋葬され、装飾品を身につけたまま、椅子のようなものに座らせて埋葬するらしい。
だからお墓の床には、骨になった彼らの装飾品が落ちているのだとか。これ地元に人から聞いた話なので真偽は不明。
ちなみに一枚目が王様のお墓で、二枚目が女王の母のお墓。
街歩きも面白くてオススメだが、タマレで一番面白くて絶対に尋ねてほしいのが、「Red Clay Museum」。
イブラヒム・ムハマという芸術家によって創設された、彼の作品を中心に展示する美術館。
敷地内に入ってまず驚くのは、たくさんの飛行機。
飛行機の中ではワークショップを開いたり、アコモデーションにする計画だそう。
彼はアンティークや古いモノが好きらしく、敷地内にはかつてガーナで走っていた列車も。
そしてレンガ造りの素晴らしい建物。この中に彼のアート作品が展示されていて、現在も増設中。
これは数年後にはすごいことになってると思う。
中の展示物をいくつか紹介すると、まずは昔のアクラの靴工場がテーマの作品。
かつてアクラの靴工場では、各メーカーによって異なる形の靴箱が使用されていた。
その靴箱に注目した彼は、その靴箱と関連するアイテムを大量に購入し、それらをどんどんと高く積み上げたのだ。
そして同じ建物内に展示してあるのは、刺青のある男の腕が目立つ3枚の写真。
靴工場で働くために故郷からアクラに出稼ぎに来た男達。中には仕事中に大怪我をすることも。
だが身分証明書も持たない人もおり、故郷の家族へ連絡しようがない。
だから男の腕には故郷の名前と家族の名前が彫られている。そうして彼らは働いてきたのである。
他にも面白い展示物がたくさんあって、今後どのような作品が加えられるのか本当に楽しみ。
ここタマレがガーナで数日滞在した最後の街となった。ここから北部の国境を経由し、トーゴへと向かう。
おわりに
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