エジプトの旅も2021年の9月から現在の2022年3月までと、もう7ヶ月。
物価も安くて居心地が良くてついついと長居してしまいましたが、もうすぐ出国。
ここエジプトで最後の滞在先は、シナイ半島のダハブ。ホームスクールを営むロシア人のコミュニティで、ロシア人に囲まれての生活しておりました。
ロシア人のコミュニティ ホームスクール生活
エジプトで最後の滞在先として選んだのが、シナイ半島のダハブ。
世界的にも有名なダイビングスポットで、周辺には珊瑚礁が生息する海と、砂漠のように荒涼とした山といった、素晴らしい自然が広がっている。
居心地の良さに長期滞在をしてしまう旅人も多く、ダハブの街は国際的な雰囲気。
他のエジプトの街の雰囲気とは全然違って、まるでダハブという別の国を訪れているよう。
こんなダハブでどこでどんな風に滞在していたのかというと、ロシア人家族が経営するホームスクールにボランティアとして滞在していました。
ポジティブ心理学の考えを基にした、ポジティブ教育という方法に沿って経営されているホームスクール。
校長のイゴルは、「現代の教育システムで育った大人で、幸せを感じながら生きている人々が少ない事」に疑問をもったことが、現在のホームスクール経営のきっかけだと語ってくれました。
私が理解したポジティブ教育での目標は、子どもたち一人一人の学力向上はもちろんのこと、それに加えて自分らしく、幸せに生きていく力を培うこと。
また人生において、困難や逆境は誰にでも起こり得るという現実に向き合い、それに伴うネガティブな感情や経験から立ち直る力やレジリエンスを養っておくこと。
さらにイゴルの「自由に生きるためには、そのための能力が必要。能力を身につけるためには努力と良い習慣が大切だ」という考えに沿って、日々のカリキュラムが組まれています。
ホームスクールは全寮制。私が滞在していた時は8人の子供たちがここで学んでいました。全寮制の理由は親から隔離するほど、良い習慣が身につきやすいから。
子供達の両親はほとんどがロシア出身で、現代の教育システムに疑問を持つお金持ちの両親をもつ子供達だとか。
ここでの子供たちの朝は早い。
起床時間は午前5:00。その日の予定を立て、各自に割り当てられた担当場所の掃除を行う。
午前6:30には、徒歩15分ほどの場所にある海に泳ぎに行く。
朝早いのでまだ気温も高くなく、楽しい海水浴というよりは修行(笑)
写真のボートの位置まで泳いで戻ってくる片道100m以上はある。
早起きも辛いだろうし、冷たい水も嫌だろうけど、子供たちは慣れているのか楽しそう。
早起きと運動は体にも脳にもいいし、個人的にもお気に入りの良い習慣だと思うので私も毎日参加。
海水浴から戻ってきて少し休憩した後の午前8:30頃には、タバタ式トレーニングやジムでの運動。そして体のストレッチ。
かなり厳しいトレーニングだけれど、グループでやると頑張れるし、続けることができる。
トレーニングが終わると午前9:30ごろに朝食を食べる。
朝食後は各自自分で決めたスケジュールによって勉強。数学、英語、読書、プログラミング、ピアノなどをコンピューターで学ぶ。
ビックリするのが、先生無しでコンピューターで学んでいるというのに、子供達ちゃんと英語を話せるし、ピアノなんて凄く上手に弾ける。ほとんど独学というのが驚きの成果。
午後13:00には昼食。毎回の食事ごとに各子供の掃除担当場所をチェックし、もし掃除できていなければ、その回の食事は抜きなんて厳しいことも。
短いお昼休憩の後は再び教室へ。たまにはボードゲームをしながら学ぶ時間も。
写真はキャッシュフローというボードゲームでお金について学んでいるところ。
午後16:00ぐらいには、子供達もようやく一日のスケジュールを終え、遊んだりできる時間。
朝の5:00からこの時間まで。しかも一週間7日間休みなしですよ。普通の学校の子供達よりもよっぽど色々と勉強してるわ。
そして午後17:00には成果発表。子供達が今日の一日でどんな事を学んだか発表し、みんなで評価しあう。
イゴルの考え方ではこの時間は大切で、子供たちがどんな「結果」を出したかに注目し、厳しく評価する。ホームスクールだから自由にお勉強ではなく、結果が大事という厳しさ。
そして18:30には夕食を食べるのですが、素晴らしいのが子供たちが自分達で料理できること。
毎回ではないけれど夕食の準備もやり、後片付けまで。写真はある日のロシア名物ペルメニ作り。
夕食を食べた後の20:00には就寝時間。これがホームスクールのルーティーン。
どうだろう?もし自分に子供がいたら、普通の学校か、このホームスクールかどちらに入学させたいだろうか?
日本には「幸せ」を感じることができず、「生きるのを辛い」と思う人々が多いという。
それは現代の教育システムが機能しておらず、失敗している証拠なのではないか?
そもそも学校教育は「幸せに生きる」人間を生むことを目標にもしていないのだけれど(笑)
不幸な人々をつくり続けている現代の教育システム。疑問を持ったなら、何かを変える時なのかもしれない。
絶景の宝庫 ダハブの自然
ダハブを語るうえで避けられないのが、この街周辺にある美しい風景の数々。
内陸部に向かえば美しい砂漠の渓谷が広がり、海に潜れば色とりどりの珊瑚礁と魚たちが迎えてくれる。
ここでは私が訪れた3つのトレッキングコースを紹介しましょう。
内陸部の渓谷へトレッキング
まず紹介するのは内陸部の渓谷へのトレッキング。下に大体の位置を地図上に描いてみました。
オフラインマップの「Maps.me 」というアプリにはルートも出ているので、そちらでも確認してみてください。
こちらの渓谷へはホームスクールの授業の一環で、子供達と一緒にトレッキングへ行ってきました。
ダハブの賑やかな街を離れて渓谷に入ると別世界。
険しい山の間に、不思議とぽっかり空いた谷間の通り道に沿って歩いていく。
自然の力によって様々な形や模様に削られた岩。
我々人間には想像もできないような年月を生きてきたのだろう。
こんな渓谷の風景もめちゃくちゃきれいでしたが、子供たちが一生懸命に崖をよじ登ったり、ロープを使って下ったりしているのが可愛かったー!
一番小さい子供は9歳だっと思うけど、これくらいの歳になると、こんなトレッキングもできちゃうんだなーと感心。
渓谷を抜けて山の中腹をまで登ってきた。
相変わらず殺風景な茶色がかった砂漠の風景。
山の頂上部分まで、もう少し。
まるでスターウォーズの映画のワンシーンのような風景。
頂上に辿り着くと、はっと息を呑む。
目の前に広がるのは、美しいダハブの全景。
こんな風景が見れて子供達もさぞかし嬉しいだろうと思っていたけれど、彼らは特に興味もなさそう(笑)
もっと楽しい事、美しい事が彼らの頭の中にあるのだろう。登山後の昼ご飯の時の方が断然嬉しそうだった。
ダハブ北部 ブルーホールとブルーラグーンへトレッキング
ダハブの北部沿岸部。ブルーホールと呼ばれるダイビングで有名なスポットがある。
珊瑚礁があるような浅瀬の海に突然150mもの深さがある巨大な穴が海中に空いているのだ。
当然そこは有名な観光スポットなのだけれど、その先にブルーラグーンという世にも美しいビーチがあると聞き、海辺を歩いて訪れることにしてみた。
トレッキングの開始時点はブルーホール。ここまでは車が通行できる道があるのですが、この先は徒歩かボートでしか進めない。
ブルーホールまではヒッチハイクで。本当は入場料金で1000円かかるのだけど、地元の人々と一緒に車の荷台に乗っていたので請求されず(笑)
さっそくブルーホールを展望台から眺めるだけ眺めて、トレッキングをスタートする。
ブルーホールからブルーラグーンまでの道は、ほぼ平坦な海岸線沿いを歩いていくだけで、特に難しい箇所はない。
ただただ美しい海を波の音を聞きながら歩くだけ。
途中には美しい入り江や、変わった形や模様をした山など。
タコをとっている村人などにも出会った。
途中にはアブ・ガルムというベドウィンの村もある。
今では観光地となっており、海辺には無数のカフェや簡易な宿泊施設が並ぶ。
それでもダハブに比べると、喧騒はなく静かな環境で、のんびりとするには良さそうな場所だ。
わずかに緑が広がる地域があり、山羊が放牧されている。
アブ・ガルム村を越えると、ブルーラグーンまでもう少し。
ここから先にも、海沿いの道に沿ってずぅーっと簡易なカフェや宿泊施設が並んでいる。
こんな建物が目に入らなければもっと素晴らしい場所になるのにと思いつつも、それはこちらのわがままというものか。
そして目的地のブルーラグーンに到着。
楽園の海といえば、こんな場所だろうかというような美しさ。
でもやっぱりカフェとか宿泊施設とか、美しい風景を邪魔するものはここには必要ないなぁーと思ってしまう。
ダハブ南部 Gabr el-Bintへトレッキング
ダハブ北部の海岸線沿いを歩いた後は、南部の海沿いの道を歩いてみる。
多少観光地化されていたブルーラグーンとは違い、ほとんど人に出会わないトレッキングができた。
そしてGabr el-Bintでは、シュノーケリングで美しい珊瑚礁と魚たちも見ることができた。
Gabr el-Bintまでのトレッキングの開始ポイントは、ダイビングスポットのスリープールという場所。
ここから目的地のGabr el-Bintまでは片道8kmほどの距離。
観光客もいない、美しい自然だけを一人で味わいたい人にはピッタリのトレッキング。
スリープールからしばらくは車も通れそうな広い道が広がっているのですが、途中からは徒歩か自転車のみで通行可能な狭い海沿いの道へ。
歩いているだけで楽しくなるような海沿いの道。
道中にはでっかい珊瑚礁の残骸や、巨大な貝殻が散らばっている。
もし日本だったら家まで持って帰りたいくらい。
風の強い日だったので波打ち際は厳しく打ちつける波が。その波が引く時にはまるで滝のように水が流れていく。
内陸部を眺めてみると、そこには相変わらず険しい山が。
ここから内陸部へ抜けていくのは簡単ではなさそうだ。
2時間ぐらい歩くと、目的地のGabr el-Bintへ到着。誰もいない。
素晴らしいダイビングスポットだと聞いていたので、早速マスクをつけてシュノーケリング。
これまで見た中で一番美しい珊瑚礁と色とりどりの魚たちが暮らしていた。
人がめったに立ち寄らない分、よく保護されているのだと思う。
しばらくシュノーケリングを楽しんだ後の帰り道、トレッキングをスタートした場所にはたくさんのラクダが待ち構えていた。
もしかしたら別の日には、大量の観光客がラクダに乗ってこのルートを闊歩しているのかもしれない。
一人でこのルートを歩けて、つくづくラッキーだったのかもしれない。
おわりに
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