[エジプト] シナイ半島へ到着 ヌエイバでの有機農場 × アートスペース滞在

紅海を南部から北部への旅を終え、一度カイロに戻ってきた。

この旅で三度目のカイロなので何だか懐かしく感じるとともに、この地に住む友人達にも再会できたのが幸い。

そして数日間カイロに滞在した後は、6ヵ月間のエジプト旅の最後の目的地であるシナイ半島へと向かう。

カイロからシナイ半島へヒッチハイクで移動

様々な色のブルーが彩る海の美しい景観と、珊瑚礁でのシュノーケリングを楽しんだ紅海の旅から再度カイロに戻ってきた。

カイロ市内に到着すると、さっそく交通渋滞と車のクラクションの奏でる騒音が「おかえりなさい」というように迎えてくれた。

そして多くの人で混雑した賑やかな通りを歩くと、何ともエジプトらしい場所に帰って来たという懐かしい気分になる。

今回はギザ地区に滞在していたサウジアラビア人のアブドラフマンのお宅に、カウチサーフィンで数日間泊めてもらった。

滞在していた地域はエジプトの文化をギュッと凝縮したような日本の下町のようなエリア。

エジプト中で見つけられる、あらゆる店が所狭しと建ち並び賑わう。ローカルカフェ、コシャリ屋、ジュース屋、ケバブ屋、各種レストランや屋台、八百屋に果物屋。

そんな中をトゥクトゥクや自転車、バイク、歩行者が乱れ歩く混沌として楽しいエジプトらしい通り。

ダハブに滞在している現在、あの混沌とローカル感が懐かしい。

カイロ滞在中には、久しぶりに日本人の旅人たちとも出会えた事も良い思い出。

数日間カイロに滞在した後は、エジプト最後の目的地になるであろうシナイ半島を目指す。

最初の目的地はヌエイバ。移動方法はもちろんヒッチハイク。

カイロ市内からヒッチハイクは難しいので、スエズ方面に向かうミニバスに乗り途中下車し、そこからヒッチハイクを開始することにした。

距離は約540km。一日で到着することは難しいので、九分九厘どこか途中で一泊する必要がある事は想定済み。

この行程で一番の難所は、スエズ運河の地下を通るトンネルを抜ける事。

軍の管理が厳しく、地元の人も外国人を乗せてこのトンネルを通過するのをためらうのだとか。

それでもトンネル前の検問所で粘り強く待っていると、親切なベドウィン一家が車の荷台に乗せてくれた。

そして何とカイロからヌエイバまでのほぼ中間地点ラス・シダーにある、彼らの家に泊めてもらえる事に。

つくづく幸運なヒッチハイク旅。

家に到着すると車に乗せてくれたアフメドのお父さんが焚火台に火をおこしてくれていて、「寒いから火の近くに座りなさい」とお茶やパン、チーズまで振る舞ってくれた。

ベドウィンのアフメド一家のおもてなしに心も温まる思い。

さらに夕食や翌日の朝食までご馳走してくれて、「またぜひとも家に遊びに来てください」と。

「ヒッチハイクで移動なんて大変じゃないですか?すごいですね!」とかよく言われる。

時には大変なことだってあるけれど、こんな風な奇跡のような出会いがあるのがヒッチハイクの魅力。

翌日はアフメド一家に最寄りの検問所まで車で送ってもらい、別れを告げる。

そして再び新たな出会いを求めて、親指を上げながら前向きに待つ。

すると、ほらやっぱり車が止まってくれて、シナイ半島の山中を抜けながらヌエイバに到着した。

ヌエイバでの有機農場 × アートスペース滞在

カイロから幸運なヒッチハイクで到着したのは、シナイ半島の小さな街ヌエイバ。

ヌエイバにはヨルダンまでのフェリーがある他、夏になると紅海を楽しむイスラエルからの観光客で、ビーチ沿いは賑わうのだとか。

しかし、冬の時期はオフシーズン。ヌエイバの街のビーチはガラガラで廃墟のよう。

野良犬が大きな顔で歩き回っている始末。

海岸沿いに街の南に歩いていくと、切り立った山と楽園のような海が描く魔法のような風景。

ゴツゴツとした岩山に、数えるほどしか生えていない木々。

そこに美しい珊瑚礁と多様性が広がる紅海。

自然てつくづく不思議だ。

そんな美しい風景が広がるヌエイバで私がボランティアとして滞在していたのは、海辺と山の間の砂漠地帯に位置する、有機農場×アートスペース。

ここで有機農業について学んだり、将来やりたい有機農場とゲストハウスのプロジェクトについて、何か学べたらという魂胆でした。

お世話になっていたのがオーナーのハレッド、ジハン夫妻と、ここで働くスーダン出身のアブ・バクル。

都会の暮らしから離れて、有機農業でハーブやオリーブを育て、

週末には3日間の芸術、サステイナビリティ、ウェルビーイングをテーマとしたワークショップ。

そんな新しいコンセプトを生業とする彼らのもとで、オリーブの木の剪定や、日干し煉瓦を使っての建物の建設、ワークショップの手伝いなどをしていました。

街の喧騒から程遠く、美しい山の景色と静寂。ファームからは僅かに海も見えた。

ここにあるのは全てオーナー夫婦が手作りしたもの。家も、キャンプファイヤーのスペースも、オリーブの木も。

彼らが5年前にこの地を開拓するまでは、ただ砂漠が広がっていただけなのに、今では緑もあって、ワークショップの度に人が集まる空間に。

そしてレスキューされた7匹の犬と2匹の猫も。

私が寝泊まりしていたのは、ファームに設置されたテントの一つ。

テントといっても、中に立派なベッドも充電できるプラグまであって快適だった。

朝方は11度ぐらいまで気温が下がるので、少し寒かったのと、猫が毎晩ベッドに添い寝しにきたのも良い思い出。

日干しレンガと泥 自然素材のみで建設するイスラム建築

毎朝朝日とともに起きる健康的な一日。まず犬と猫たちに餌をあげて、淹れたてのコーヒーを飲みながら一日が始まる。

一番面白かったのが、日干し煉瓦の家をゼロから建てるのを見れた事。

アスワンから働きにきた4人の職人達が8日間で完成させた。

最初は、ドアを設置するところから。

土と干し草でできたレンガを積んで、泥で固めていく。自然素材だけでの建築。

次々と日干しレンガが積みあがっていき、窓を設置。

レンガ同士にあえて隙間を作っておくことで強度があがる。レンガを積み上げる時は縦、横を交互にジェンガを積み上げるように。

職人たちと言葉は通じなかったけれど、気のいい親切な奴らだった。

毎晩お茶を飲みながらお喋りして、いつの間にか仲良くなっていった。

屋根の重さを分散するために、壁にアーチの形を施す。

屋根はイスラム建築によく見られるドーム型にするそう。

ドーム型の屋根にするために、レンガを積み上げていく。

レンガは重力で落ちそうだけれど、絶妙に落ちてこない。

互いが互いを支え合って、天井から丸く見えていた空がどんどんと小さくなっていく。

そして、ついに最終段階。

最後のピースを器用にハメて。

完成!

ここに漆喰のように泥を塗りつけていき、壁の表面を滑らかにする。

屋根に大人が数人乗ってもビクともしない。日干しレンガと泥なのに。

見慣れたイスラム建築のドーム型の建物。

どんな風に建てるのだろうと思っていたけれど、まさかここで謎が解けるなんて。

ワークショップで大忙しの4日間

幸運なことに、有名なコラージュアーティストを招いてのワークショップが滞在中に行われることに。

費用は3泊4日で一人32,000円ほどと、エジプトではかなり高額ですが満員御礼。

ワークショップ中の仕事は普段のファームでの仕事と違って、サービス業。

食事を準備したり、掃除したりなどなどで、朝から晩まで大忙しであった。

朝は早く起きて朝食の準備。

ハレッドが手作りのパンやシナモンロールをオーブンで焼いたり、コーヒーやハーブティーを淹れたりするお手伝い。

お金をたくさんとるだけあって、素材にしても一つ一つのこだわりがすごい。

一番面白かったのが、香辛料でマリネードした鶏肉を地下で4時間かけてじっくりと焼く料理。

2mほどの穴の中で火をおこし、たくさんの木炭をつくる。

そこに鶏肉を台に乗せて、ゆっくりと穴に運ぶ。

地上部にきっちりと蓋をして、その上から分厚く砂で覆う。

完成した鳥の丸焼きは最高に美味。

そこにサラダ、ご飯、チーズ、土鍋に野菜を詰めてオーブンで焼いた料理などご馳走。

ワークショップ自体はめちゃめちゃ忙しかったけれど、美味しいもの食べてました。

ワークショップは、朝の10:00から、お昼を挟んで午後5:00ぐらいまで。

忙しくてワークショップの様子はあまり見れなかったけれど、参加者は時間も忘れるほど夢中でコラージュアートに取り組んでいて、見ているだけでその楽しさが伝わってくるようだった。

日本人の私にとっても芸術はどこか自分とは遠いところにあると感じていた。

子供のころから特別に芸術に触れてきたわけではないし。

ましてや自分で芸術作品を作るなんて、小学校の図工の授業以来考えたこともなかったけれど、ちょっといいかもなと思えた。

こちらが彼女らがワークショップを通して、制作したコラージュアートの一部。

もっとアートを身近に感じてもらいたいとの思いから、オーナー夫妻が蒔いた種はどんどん大きくなっている。

そして毎回のワークショップ毎にオリーブの木を記念として植えるのだとか。

このオリーブの木が実をつけるころ、この場所はどんな進化を遂げているのだろう?

ここでできた繋がりを大切にしながら、再びこの場所を訪れることを楽しみにしていたい。

ヌエイバで絶景トレッキング「Coloured Canyon」と「Wadi El Weshwash」

ヌエイバで滞在中にファームから毎日眺めていた美しい山の風景。

眺めているとやっぱり山の中に分け入って、どんな風景が広がっているのか確かめたくなるのが性。

早速付近の面白そうなトレッキングルートを探してみると、「Coloured Canyon」と「Wadi El Weshwash」という場所が見つかった。

本当はガイドがいないと歩いてはいけないエリアなのだけれど気にしない。一人で歩きます。

トレッキング開始ポイントはヌエイバから北に8kmほど。歩行距離は往復で26km。

簡単なトレッキングではないけれど、8時間あれば十分楽しめる距離。

ということで、早朝ヒッチハイクでヌエイバを出て、渓谷の中を探検することにした。

切り立った崖ばかりで、どこにも分け入る隙がないように見える山だけれど、時折ぽっかりと大きく開けた谷間がある。

そんな渓谷の底である谷間に沿って、両側にそびえ立つ巨大な崖を見上げながら歩いていく。

狭くなったり広くなったりして枝のように分かれていく谷間。かつてここに水の流れがあった事の証。

そんな枝分かれした谷間の一つの奥には、最初の目的地である「Wadi El Weshwash」。

赤みがかった巨大な崖に囲まれた天然湧水プール。自然の不思議。

砂漠地帯の渓谷を歩く経験は、今までになかったからかすごく新鮮に感じた。

赤みがかった大地に、ほとんど生えていない木。まるで別の惑星を探検しているかのよう。

ずっと渓谷の谷間を歩いていくのかと思えば、峠道を何度か越えることも。

そのたびに頂上からは素晴らしい景色を眺めることができる。

この場所を歩いているのは、私一人だけ。時折とこうやって一人で自然の中で過ごす時間が恋しくなって、街を飛び出す。

そして山へ、森へ、海へ、砂漠へ。

自然の中を奥地へと歩いていくのは、体力的には確かに疲れる。

けれど精神的にはその何倍ものエネルギーを受け取る事ができる。

渓谷を登ったり下ったりしながら歩いていると、不思議な形に削られた崖があちこちに見つかる。

長年風雨にさらされて出来上がった自然の芸術。

第二の目的地「Coloured Canyon」がある谷間に到着すると、崖の壁に不思議な模様が現れはじめた。

そして圧巻の「Coloured Canyon」へ到着。

人が一人か二人通れるだけの狭い渓谷。両側にはカラフルで不思議な模様。

まるで一人だけ突然と別の世界に迷い込んでしまったかのような錯覚に陥る。

何とも美しく不思議な場所。

世界中にはまだまだ知られざる風景や文化、人々との出会いが待ち受けている。

せっかく幸運にもこんなに美しい地球に生まれてきたのだから、まだもう少し世界を旅していたい。

おわりに

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