エクアドルのコタカチに2ヵ月間滞在していた間、数回訪れたのがインタグ・バレー(Valle de Intag)と呼ばれるエリア。ここインタグには、間断なく雲や霧が森林にかかる雲霧林と呼ばれる生物多様性豊かな森林が広がります。
地面や樹木に苔が繁茂した、うっそうとしたインタグの森林。そこから流れ出る美しい川。山間部を切れては流れる雲。フレンドリーな人々。
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インタグ・バレー 雲霧林の中へ
インタグ・バレーはコタカチから50kmほど西。アンデス山脈の西部、標高800m~1800mほどの地域。コタカチからは、インタグの玄関口アプエラまでバスで1時間30分ほどの距離。
オタバロからはキロガ(Quiroga)経由で1日に数本のバスが出ています(残念ながらコタカチは経由しない)。バスチケットの価格は2ドル50セント。
インタグへと続く道。アンデス高地の山岳風景から、グネグネと曲がりくねった道をいくつも谷を越えていくと、少しずつ緑が増えていき、雲と霧がかかるうっそうとした森林が。アンデス高地とは、まるで別世界。
インタグ地方の年間降水雨量は2000ミリから2700ミリにもなる。エクアドルの海辺から流れ込む温かく湿った風が、アンデス山脈に向かって流れ込み、雲となり、霧となり、この地方の湿潤な気候を生み出す。
乾季でも大地は緑に包まれ、山間部から多くの川が谷間に流れ込む。
うっそうとした湿潤な森林の中を歩いてみると、そこには様々な樹木が生い茂り、その木々の幹や枝にはラン類やコケ類などの着生植物が絡まりついている。それらの重みに耐えきれなくなった枝は折れて、やがて樹木自体も倒れて土に還る。
この地方の森林は雲霧林と呼ばれ、世界中で最もラン科植物が豊富なのだそう。ランだけでなく、多様な植物や生物が生息する生物多様性の宝庫。世界でも有数の生物多様性を誇る森林なのだとか。
緑に溢れた密度の濃い森を歩いていると、鳥や虫の声がそこらじゅうから聞こえてくる。
水量が豊かな森には、いくつもの川が流れ、長靴無しで歩き回るのは難しい。いくつもの小さな川を越え、ぐちょぐちょの湿原のような場所を歩いていく。
そして川の上流を辿っていくと、どぉーっという轟音とともに勢いよく流れだす滝が。太陽の光があまり届かない森の中は、歩いていても涼しい。
こんなに美しく豊かな森林をもつインタグ。ですが、近代的な農場の拡大が始まるにつれて樹木が伐採され、森林が減少した過去も。
しかし、今ではかつてこの地域で行われていた伝統的なアグロフォレストリー農法が見直され、森の中にバナナやパパイヤなどの様々な果樹とコーヒー、農作物を一緒に植える栽培方法が見直されています。
鉱山開発の計画もありましたが、環境保護を求める住民たちの声で、それも中止になりました。さらに、残された数少ない原生林はプライベート・リザーブとして保護されています。
インタグを訪れて、印象的だったのが人々の温かさ。
インタグの森の中を数時間歩き回って、プラザ・グティエレスという村に辿り着いた時の事。あるお店の前で休んでいると、オーナーのおばちゃんが「これを食べなさい」ユカとバナナをのせたお皿を持ってきてくれて、帰り際にはエンパナーダとアイスまで持たせてくれた。
豊かな自然と温かな人々。エクアドルに来たときは、もう一度訪れたい場所。
おわりに
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