2ヵ月半滞在したタンザニアに別れを告げ、ケニアに入国。PCR検査を受け、ヒッチハイクでタンザニア・ケニア間を陸路で国境越え。相変わらずタンザニアでのヒッチハイクは簡単だった。
タンザニアを出国しケニアに入国する時、タンザニアでPCR検査を受けたにも関わらず、なぜかPCRをもう一度受けなければならなかった。国境で検査受けられるなら、高いお金払ってタンザニアで受ける必要はなかったのでは?
少し国境で揉めつつも無事にケニアに入国。揉めたからか一か月間のビザしか発行してもらえなかった(笑)それでも無事にケニアに到着し、これからヴィクトリア湖での農村での生活が始まる。
薪で調理、バケツシャワー、雨水利用のケニア農村暮らし
国境から乗り合いバスを乗り継いで、ヴィクトリア湖の近くにある目的地の村を目指す。新型コロナの影響で午後7:00以降は外出禁止令が出ているので、ヒッチハイクでなく公共の交通機関で。
雨が降る中、Rodi(ロディ)という、目的地最寄りのバス停で下車。まだ現地のシムカードも手に入れてないので、近くのお店のオバちゃんに携帯を貸してもらって、ボランティアとしてしばらく滞在させてもらえるポール一家に連絡。
ケニアではタンザニアと違い、どこでも英語が通じるのがありがたい。ケニアでは学校で原則英語を使ってすべての教科を教えているそう。みんな英語が話せるわけだ。
数分後ポールがバイクに乗って迎えに来てくれた。
ポールはパーマカルチャーの考えに基づき、自分の生まれ育ったコミュニティの生活を改善しようと奮闘しており、今回は彼のプロジェクトにボランティアとして参加させてもらう事になったのでした。
パーマカルチャーについては後に説明するとして、まずはケニアの農村でのポール一家との暮らしから紹介したいと思います。
ポール一家が暮らすのはホマ・ベイ地方と呼ばれるケニアの西側でヴィクトリア湖の東湖岸にある地域。ケニアには42の民族が存在すると言われており、彼らはその中のルオ族と呼ばれる人々。
ルオ族の人々は主にヴィクトリア湖の周辺に住む人々のよう。彼らはルオ語に加え、スワヒリ語と英語も話す。ここでは驚くことに三種類の言葉を操るのが普通。
滞在していた村の風景はこんな感じです。緑豊かで丘の多い地形。想像していたケニアの風景の何倍も緑がいっぱい。
ポール家族はポール(父)、デボラ(母)、ネッド(長男)、ブルース(次男)、シェリー(長女)、ドン(三男)で、親戚のリリアナ、ヴィン、エフィ―を含め9人で一緒に暮らす。
3歳から16歳までの子供たちが6人もいるので、家はいつも賑やかで大騒ぎ。誰かが暴れてて、誰かが泣いてる。そんな毎日(笑)
私が彼らと一緒に住んでいた家はこんな感じです。大きなリビングルームと部屋が4つあるのですが、そのうちの一部屋に居候させてもらっていました。
電気は通っていましたが、水道はまだ整備されていないため、ここでは雨水タンクを利用していました。
このように雨が降ると、水滴が屋根を伝ってタンクの中に水がたまる仕組み。ここではタンクを二つ設置して雨水を再利用。
このタンクの水がなくなると1km以上離れた井戸まで水を汲みに行かないと行けないので、大変な労力。雨水タンクの無い近所の家族は、毎日徒歩で水を汲みに行っていました。水道のありがたさが身にしみる。
ここでの朝は早かった。朝は6:00頃からゴソゴソと音がし始める。子供達が学校に行く時間。彼らの眠そうな声や、母デボラの叱咤する声、そして鶏のコケコッコーで毎日目が覚める(笑)
朝の8:00ぐらいに朝食。朝食はいたってシンプル。ミルクティーに食パンが基本。たまにマンダージと呼ばれる揚げパンも。
朝食が終わると、まずは家畜を放牧へ。途中村人のトウモロコシ畑に入って、畑を荒らさないように注意しながら。こちらにとっては、朝の散歩のようなもの。
数頭の牛、ヤギ、ヒツジ、ロバを牧草地へ連れて行く。
放牧が終わると畑仕事へ。仕事はタネをまいたり、水をあげたり、移植したり、雑草を抜いて、収穫したりと様々。ファームについては、後ほど詳しく説明します。
朝の仕事が終わると昼食。昼食の担当は女の子たち、16歳のヴィンと14歳のエフィ―。驚くことに彼女たちは朝食・昼食。夕食の準備、家の掃除、洗濯と全てこなす。日本では考えられない。
開放的な家には、たまに鶏も入ってきて場所をかまわず糞をする。そして幼い子供達もたくさんなので、部屋はいつも荒れる。これを毎日掃除するのは簡単じゃない。洗濯だって全て手洗い。
ご飯作りだって日本とは全然違う。薪や石炭を使って調理するのがケニアの村スタイル。まずはこちら。
日本の七輪のような感じ下の扉から木炭を入れて調理する。主に肉や魚を煮込んだりするときや、揚げパンを作る時などに使用する。
またシンプルに3つの石を配置したかまどで、薪を使っても調理。ここではチャパティや、トウモロコシの粉を水で練ったウガリ(ケニアの国民食)を作ってくれた。
こちらがチャパティで、
こちらがウガリ。できたてホヤホヤ。
このウガリにトマトベースで味付けした野菜や、お肉、魚をおかずに頂くのがここでの定番料理でした。
特にヴィクトリア湖で捕れたティラピアは絶品!こんな感じです。
昼食を終えると休憩タイム。汚れた体をきれいにするためにホットシャワー…っと言いたいところですが、ここにはまだホットシャワーシステムはなかった。
雨水を貯めたタンクからバケツ一杯の水を入れて、バケツシャワー!水のありがたさ、温かいシャワーのありがたさを身に沁みつつも、バケツシャワーも慣れれば悪くない。
シャワーを終えて、家に戻ると(トイレもシャワーも家の外にある)近所の子供達も集まって、何やらテレビを見ている。見ているのはインドのメロドラマ。
ポール一家の流行りはフィリンピンとインドのドラマでした。あと次男のブルースはカンフー映画が好きだった。後はルオ族が多く住む地域だけに、彼ら専用のチャンネルもあって、ルオ族のドラマなんてのもあったりする。
午後7:30ぐらいになると、家族そろって夕食を食べて、夜の10:00ぐらいには就寝。翌朝また子供達と鶏の鳴き声で起こされて、7:30に朝ごはんを食べての繰り返し。すごく健康的な生活!
こんな生活の中で一番思い出に残っているのは、家族総出でトウモロコシ畑に植えた豆の収穫をしたこと。
炎天下の中、トウモロコシ畑の中を腰をかがめながら歩いて豆を収穫する。それはそれは重労働。
大量に収穫した豆は、ロバに括り付けた荷台に乗せて運ぶ。
何ともケニアの農村らしい風景。
ちなみに収穫した豆の中身はこんな感じ。今回収穫した豆で6ヶ月間分にあたるとのこと。
時には仲良くなった村人の家に遊びに行くことも。こちらはピーターの家。家も自分で建てたらしい。すげぇ。
ここまでは電気がまだ通っていないので、屋根につけたソーラーパネルで電力はまかなう。ピーターも畑を持っていて、そこにはパパイヤの木やサトウキビが植えられている。
こんな風に毎日ポール一家と過ごしながら、毎日ウガリを食べてケニアの農村生活にどっぷりと浸かっていました。
今思うと夏かしく、楽しかった毎日。
パーマカルチャーファームの様子
さてさて私がポール一家にお世話になっていたのは、彼のパーマカルチャープロジェクトをお手伝いするのが目的でもありました。まずパーマカルチャーって何?って感じですよね?
まずパーマカルチャーという言葉は、パーマネント(永続性)、農業(アグリカルチャー)、文化(カルチャー)を組み合わせた言葉。
循環型のサステイナブルな農業をもとに、人と自然がともに豊かになるような関係性を築いていくために暮らしをデザインしていく考え方です。
例えば化学肥料を使わない有機農業。電力やエネルギーは、ソーラーパワーや水力、風力など化石燃料に頼らず、再利用できるエネルギーを使用する、などを通して人間と自然が永続的に共生していくことを目指します。
ここでは詳しい説明は省きますが、興味ある方はパーマカルチャーでググってみてください。
ポールはパーマカルチャーについてウガンダで学び、そこで得た知識を彼の住むコミュニティに広める活動をしています。従来型の化学肥料に頼る農業ではなく、土地にダメージを与えず、持続的にコミュニティが豊かになっていくように。
彼のファームは、コミュニティの人々が、小さなスペースを効率よく使用し、多様な作物をできるだけ多く育てられるようにパーマカルチャーの農業テクニックのショーケースのような役割を果たしています。
相性の良い作物の組み合わせ(コンパニオンプランツ)や斬新な畑の形(キーホールガーデン・マンダラガーデンなど)や土を裸にせずマルチを敷いて土を乾燥から防ぐ方法など、様々なテクニックをコミュニティに紹介しています。
こちらはミミズコンポスト。
そんな彼のパーマカルチャーガーデンでは作物がすくすくと育つ。
今のところ村の中でも一番自然の多様性がある場所なので、鳥たちもここで巣作りをしていました。
こちらは滞在中にポールのアイデアで作った、魚と植物を同時に育てるエコ水槽システム。アフリカDIY!
下のタンクでは水を入れて魚を飼育する。ポンプでタンクの中の水を上に吸い上げ上のタンクへ→敷き詰めた砂利が、それをきれいにする→その過程で上のタンクに植えた植物を育てる→きれいになった水が下のタンクへ→その繰り返し。
しかも水量の変化によって、ポンプのスイッチが自動で入る機能付き。何と後日ケニアの新聞にも取り上げてもらいました!
またポールは近隣のコミュニティの農家を訪れて、実践式のパーマカルチャーの講座も行っています。いつの日かこの地域がケニアを代表するエコヴィレッジになる日も遠くないかもしれません。
彼が運営するNGOのホームページのリンクも貼っておきます。興味のある方はどうぞ。ボランティアや寄付も募集中です。
いずれは日本とケニアで国際交流しながら、互いにパーマカルチャーを学べるような留学コースを作れたらいいねとポールと話しています。いつの日か。
おわりに
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