1ヵ月ほど滞在したギニアを去り、次の国コートジボワールへとやってきた。
国境を抜けて、あきらかに変わったのが道路。インフラから両国の経済格差が垣間見える。
北のサバンナへ向かうのか、南のギニア湾方向か。
どちらの方向へ行くか迷うけれど、その時の気分にまかせて、南の海岸沿いで首都アビジャンに向かうことにした。
マン -コートジボワールの山岳地帯-
国境からはヒッチハイクでバイクと車を乗り継ぎ、ダナネという街へ。
道中に大きく見えるのは西アフリカ最高峰のニンバ山。
コートジボワール側からも登れるとの事だったが、地元の人に聞いても誰も詳細を知らないので行かない事に決めた。
自然保護区だし許可証も必要だろうし(知らないけど)、Maps.meのアプリにも登山ルートは記載されていないからガイドも必要だろうし。
その分も目的地のマンという街で、トレッキングを楽しむことに。街の周囲が山に囲まれて、景色の良いトレッキングルートに滝まであるようだ。
コートジボワールで最初の街ダナネに到着し最初の昼食は、キャッサバが原料のアチェケ。
ギニアでもよく食べたけれど、コートジボワールが本場のよう。
聞いた話だけれど、すでに中国が工場で製品化して世界中への販売を開始しているらしい。
クスクスみたいで美味しいから、もしかしたら日本でも流行ったりして。
腹ごしらえが終わり、トラックに乗せてもらいマンの街へ。
カウチサーフィンのホストもおらず、泊まるところも見つけないといけないけれ、なんとかなるだろう。
西アフリカでは、この”なんとかなる”(最悪地元の人々に頼めば助けてもらえるだろう)という、安心感を個人的には感じている。
そしてカトリック教会にテントを張るのを断られた後、街の中心部に小さなモスクを発見。
奇跡的に責任者の方が英語を話せて、事情を説明するとモスクの敷地内にテントを張らせてもらえる事に。
ありがとう神様。どういう巡り合わせか、出会いとは本当に不思議なものだ。
というわけで、ここがマンでの寝床だ。
ここでは、5日間ほど寝かせてもらったのだが、同じ人々が同じ時間に祈りに来るので、彼らとはすぐに顔見知りに。
イスラム教の人々は、旅人に優しいのはバックパッカーの知るところ。
西アフリカは、カウチサーフィンがあまり知られていないので、こんな風に自分から頼んで泊めてもらっているのです。
“Dent de Man 周回ルートをトレッキング”
さて、ここを拠点にトレッキング。
調べてみると、マンの中心部から簡単に行けそうなのは”Dent de Man”と”Mont Tonkpi”。
あ…下の画像ではトンクピがトプカイになってる…。トンクピ山の間違いです。
モスクに泊まっているので、朝の目覚めは早い。
ご存知の通りイスラム教徒は1日に5回のお祈りの時間がある。その最初のお祈りは朝の5:00頃に始まるので、アザーン(礼拝時間の呼びかけ)で、私の起床時間も同時間に。
ただ、これがトレッキングの開始時間には最高の時間。
早朝の時間は涼しくて、日中の強い日差しの中を歩くのを避けられるからだ。
初日は”Dent de Man”を歩くことにする。Maps.meのアプリで確認すると、周回ルートがあるよう。
事前にiOverlanderというアプリで、調べた情報によると、登山口の村に非公式の入場料を請求してくる人々がいるそう。
そして旅人と彼らの間でトラブルになっているのだとか…。
ただ誰も朝の6:00には、そこにはいないだろう。”早起きは一文の得”とは、まさにこの事だ。
登山口に到着すると1人の男に声をかけられたが、聞こえないふりして無視して歩き去る。
道中に別の男に「金は払ったのか?」と声をかけられるも、同様に無視してさよなら。
後にトレッキング中に出会ったオランダ人カップルは、15人程の男に囲まれ、お金の支払いやガイドの動向を強制されたという…。めんどくさ…。
さて、村からは東方向へ急登を登っていき、丘を登りきると、そこには開拓された畑。その先には朝日に照らされた山岳風景。
道中に鋤を持ったすでに働き始めている農家の人々にすれ違う。
「ボンジュール!」と挨拶すると、「ボンジュール!」と気持ちよく返事をしてくれる。彼らは一部の村人が不当に旅行者からお金を請求しているなんて、知る由もないだろうと思う。
サンダル履きで働く彼らとすれ違いながら、バナナやカカオ、コーヒー、パイナップルなどが混植された山を歩いていく。
しばらく歩くと今回の目的地である”Dent de Man”の頂上が見えてきた。
名前のようにニュキっと歯のように大地から飛び出ているように見えなくもない。
あの巨岩の頂上を目指して歩くわけだが、それはそれは急登。
早朝にも関わらず、体から噴き出る汗をぬぐいながら登る登る。
ここまで来ると、開拓もされておらず、自然のままの森林が残されている。
そして森を抜けると、視界が開け、目に飛び込んでくるのは絶景のパノラマ風景。
このあたりに生息しているのか、ハイラックスのような巨大なネズミのような生物が慌てて岩陰に隠れるのも見える。
巨岩の上からはマンの街と周辺の山岳風景を見渡せる最高の景色に加え、下から気持ちの良い風が吹き上げてきて涼しい。
何とも居心地の良い場所で、ついつい2時間ほどくつろいでしまった。
いつまでも居座っていられそうだけど、座っているお尻が痛くなってきたので、重い腰をあげる。
下山した後に楽しみなのは、周回ルートの先にあるという滝。こんな自然の中で水浴びができれば最高に気持ちいいだろう。
そんな事を夢見ながら、森林を歩いていく。
おすすめはこのトレッキング周回ルートを反時計回りに歩き始めること。
すると先に”Dent de Man”の巨岩の頂上にある絶景ポイントに到着し、トレッキングの終盤に滝に到着できるのだ。
暑い暑い気温の中、疲れた体を滝の中にザバッと放り込むのが最高。
周回ルートを時計回りに始めると、登山口の村から滝まではそれほど遠くなく平坦な道。
滝だけ訪れるのでも、十分楽しいのではないかと思います。
360度のパノラマ風景 トンクピ山へ登る
さて、そして翌日に向かったのがトンクピ山。何でもここも頂上からの景色が素晴らしいのだとか。
登山口の近くには素晴らしい滝があり、有料だがここも遊泳可能で地元の人で賑わっている。
トンクピ山の頂上までは、4輪駆動の車やバイクでも登れるみたい。
道中は村々を経由していくのだけれど、ここまでちゃんと電気も通っている。街でも電力供給のおぼつかないギニアビサウやギニアとは違う。
村々の間を徒歩で行き来する村人たちに挨拶しながら、下の写真のような道を歩いていく。
途中で湧水を飲んだりしながら歩いて、すごく楽しいのだけれど、少しずつ疲れてくる。
ヒッチハイクしながら登ってれば、誰か頂上に行く人に乗せてもらえるだろうと思っていたが、甘かった。
まったく誰もバイクで通過しないのだ…。結局マンの中心部から20km以上の距離を全て徒歩で歩くハメになった(笑)
道中で農作業をしているアフリカンママに、「ここ誰かバイクで通るかな?どのくらいで頂上かな?もう疲れたかも」と泣き言を吐きながら、「もう戻ろうかな」と相談すると、「今日は日曜日だからみんな農作業でバイクは通らないよ、あと少しだから頑張りな!」と励まされながら、歩き続ける。
そしてヘトヘトになりながら、電波タワーがそびえ立つ頂上へ。
電波タワーへ到着すると、そこには2人の看守がいて「歩いてきたので、もうヘトヘトです」と水を分けてもらい、ソファでしばし休憩。
そして最後の力を振り絞って、電波タワーの頂上へ。残念ながらエレベーターはなく、階段を一段一段登っていく。
そして頂上からの景色がこちら。
素晴らしい360度のパノラマ風景。
電波タワーの周囲は森林保護区となっていて、自然の森が残されている。
それらをタワーの頂上から鳥のように俯瞰できるのは素晴らしかった。
バードウォッチングなんかには最高だろう。
そして「あぁ…帰り道も全部歩くことになるのか…」と心が折れそうになっていたその時。
一台のトラックが唸りを上げながら坂道を登ってくる。
まさに奇跡。帰り道は無事にそのトラックにマンの街まで送り届けてもらえたのでした。
人生、本当の最悪の最悪のケースはめったには起こらないのだ。
ギニア湾の旅のこともこの記事で一気に書こうと思ったけれど、長くなりすぎそうなので続きは次回。
おわりに
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