美しい山岳地帯が広がるギニアのフータ・ジャロン地方。
その素晴らしさは各都市をつなぐ主要道路を旅するだけではわからない。
小さな村々が点在するデコボコ道を、砂埃と照りつける太陽にさらされながら、絶景を探す旅へ。
ピタを拠点に2つの絶景の滝へ ケンコンとカンバダガの滝
ラベから南下し、ピタという街へ。
ここでもカウチサーフィンのカールさんとアイサトゥさん家族のお宅にお世話になります。
残念ながらカールさんは不在だったけれど、日本に10年も住んでいたことがあるようで、チャンスがあれば是非ともお目にかかりたい。
カールさんはパーマカルチャーファームを実践されている人で、庭にはバナナ、コーヒー、マンゴー、生姜、パパイヤ、各種野菜などが混植されている。鶏と山羊の家畜も。
ここでは家のテラスにテントを張らせてもらい、シャワーは家の裏側にある川で水浴びというワイルドさが最高。
ここピタの街は特に特別な街ではないが、フータ・ジャロン地方のトレッキングの拠点に最適だと思う。
丁度良いサイズの街で、大きな市場もあり必要なモノは大体揃う。
まずはこの街から日帰りでも行ける2つの美しい滝をご紹介。
ケンコンの滝
まずはピタから一番近くにあるケンコンの滝。
場所は以下の地図を参考にしてください。私はどこもヒッチハイクで旅してますが、ここに行くにはバイクタクシーを手配するのが一番簡単だと思います。
素晴らしく美しい滝なのですが、途中に軍のチェックポイントがあり賄賂を払わなければ通過できないのが難点。
私は彼らと口喧嘩して通過を拒否された後、徒歩でのみ通過可能な迂回路を経由して、コソコソと隠れながら滝方向へ。
チェックポイントの人々が確認しに来ないか少し心配ではありましたが、そんな事は起こらず。
反対にチェックポイントのおかげで、一度滝に辿り着いてしまえば一人で独占状態。
滝の手前は小さな渓谷になっていたので、服を脱いで水浴び。
肌がヒリヒリするような照りつける太陽の中で、冷たい川に全身を浸すのは最高に気持ちが良い。
しかも大自然の中に一人で。
滝壺から下を覗いてみると、ここからは深い深い渓谷に。
ここからさらに下流の川へと続き、最後にはギニア湾に流れつく。
水浴びや滝壺での風景を楽しんだ後は、ケンコンの滝の全景が眺められる展望台へ。
フータ・ジャロン地方には、このような滝が無数にあるので感情が慣れてしまうけれど、落差があり素晴らしく美しい風景。
ピタからもほど近いので、「ピタへお越しの際はまずはこちらの滝へ」という感じでオススメします。
カンバダガの滝
続いてオススメ致しますのがカンバダガの滝。
こちらもピタからほど近く、日帰りで十分可能。
Bourouwai Tappeという街から、西へ舗装されていないガタガタ道を進んでいった先にある。
先ほど紹介したケンコンの滝もそうなのだが、以下の写真のようなサバンナ気候の乾燥気味の大地の中に、勢いよく流れ落ちる滝があるので、その美しさを一層に感じるのです。
ギニアのフータ・ジャロン地方は、美しい滝の宝庫。
このカンバダガの滝も、その素晴らしさと相反して全く観光化されていない。
まずは滝の全景を眺めることのできる展望台へ。
2つの滝が段差になって流れ落ちる自然の芸術。
滝壺にたたえられた深い青色をしたプール。息を呑むような素晴らしい風景。
そして二つの滝の間のスペースへ降りていけるトレイルを発見。
かなり急な傾斜だけれど、慎重に下っていく。
そして辿り着くのがこの風景。
こんな風景を独り占めです。自分以外に誰もいない。
これが感動するということ。何だか心の底から自然のエネルギーや幸せを感じるような感覚。
色んな形があるのだろうけれど、旅もこうやって数々の心が喜ぶような瞬間に出会えるので、素晴らしい体験だ。
上段から流れ落ちてくる滝壺で裸で泳いでいると、こんな洞窟も発見。
逆さまにするとアフリカ大陸の形になるような、岩穴の形。ここを窓として滝を眺める。
その後は下ってきた急傾斜を登りなおして、最上段の滝の上へ。
そこからは先ほどまで泳いでいた滝壺が見える。
そして下流へと続いていく渓谷も。
滝の上部は川になっていて、地元の子供達が泳いでいたり、キャンプをしに来た若い二人組の男性も。
あー!俺もキャンプ道具持ってくればよかったー!と思いましたが、もし次回があれば絶対に。
フータ・ジャロン地方を訪れられた際は、このカンバダガの滝は外せません
エギュエルから巡る素晴らしい3つの滝
前述の2つの滝が、誰でも簡単に訪れられる場所だとすれば、これから紹介する場所はトレッキングに慣れた人か、ガイドを雇って訪れられる事をオススメします。
私は無茶なトレッキングに慣れているので、適当にトレイルを探しながら歩いていますが、ここはまだ地図アプリのMaps.meにもトレイルが描かれてないので。
それでもという方は、私が適当に描いた地図を参考にして頂ければと思います。
実際の道には、以下の写真のような轍が残されているので、トレッキングに慣れている人なら携帯のGPSと組み合わせて迷わず歩けるかと。
それではまずはエギュエル(Aiguel)から巡る3つの滝のルートから。
私が歩いたトレッキングルートは以下の画像のようなルートです。
エギュエルから川を越えてジュルギの滝を訪れ→川沿いに歩いていきカマウィの滝が流れ落ちる手前へ(最終的にここに戻ってきて一泊)→ここから標高を下げるように歩いていきドンソヲルの滝へ→カマウィの滝の滝壺まで行って、キャンプ地まで戻ってくる。
さてさてトレッキングの始まりとなるエギュエルの村。ピタからヒッチハイクでバイクを乗り継いだり、途中歩いたりしながらエギュエルの方向へ。
小さな村々を通り抜け、のどが渇けば水を分けてもらったりしながら。
エギュエルの村の手前のワンサという街で、本日と翌日の朝食分の食料を調達。
トレッキングの開始地点となるエギュエルの村には素晴らしい伝統家屋が残されており、現在でも人々がそこで暮らしている。
周辺にある素材から建設されるので、見事に自然と調和し美しいと感じる。
家が丸い形なのは、悪霊が住みつかないためと聞いた事もある。
村はその全体をぐるっと柵で囲われている。柵の中には人々が暮らしており、美しい伝統家屋や井戸、畑などがある。
柵の外側は森を切り開いた平原になっており、そこには牛などの家畜が放牧されている。
家畜が畑の野菜などを食べないように、村を柵で囲み、その外側の牛や羊などを放牧しているのだろう。
村人たちは井戸水を飲み水として使用し、川で衣服の洗濯をしているようだった。
そんなゆったりとした日常風景を横目に見ながら、最初のジュルギの滝を目指して歩いていく。
まずはエギュエルから対岸へ川を越えなければならない。
そのために渡るのが何とも素晴らしい、自然が生み出した石の橋。
川が巨岩を少しずつ浸食し削ってできたのだろう。
この橋の上を歩く時には、何だか神聖な感じがし、自然のエネルギーを体で感じるような気がした。
この辺りはサバンナ気候にあたるので、見晴らしもいい。少し無茶をしても森林でのトレッキングのように迷う心配が少ない。
しばらく歩くとゴォーゴォーという水が勢いよく流れ落ちるような音が聞こえてくるので、うっすらと残る轍に沿って、その涼しい音の方向へ。
するとそこで水しぶきをあげていたのがジュルギの滝。
ここまではMaps.meという地図アプリにもルートが記載されていたので、辿り着くのは簡単。
ここから先は自分の経験と勘とGPSを頼りにルートを探していく。
幸運にも、川沿いに次の滝の方向へと続いていきそうな轍を見つけたので、それに沿うように歩いていく。
それにしても暑いので、途中に川で水浴びをしたりしながら。
川の冷たい水に全身をうずめても、陸に上がればその照りつける太陽で瞬く間に体が乾く。
ここから二つ目の滝であるKamawiの滝の上部までは、川沿いに歩いていく。
川沿いに近くなり日陰に入ると、途端に涼しく感じる。こんなにも違うものか。
このような乾燥した気候と起伏の激しい崖がある風景は、オーストラリアの西海岸を思い出させる。
そしてまた水が勢いよく流れる音が聞こえてくる。
小さな段差に無数の小さな滝が流れ落ちている。
こんなところでキャンプができれば最高だろうと思いながら、ここを今夜のキャンプの第一候補に。
Kamawiの滝がGPSでは近いはずだが見つからず。とりえず先に進んだのだが、後々ここが滝の上部だったことに気づく。
ここからは川沿いの道から南側の崖方向に歩いていく。
地図を見ていると二つの川が合流する場所のようで、急な傾斜を下り標高を下げていく。
さすが二つの川が合流する場所だけあり、トンボや蝶々が飛びかう緑が豊かな森が広がる。
小さな川の支流を、滝の音がする方向へ登ってみると、そこにはドンソヲルの滝。
これだけ様々な滝がある中で、当然だがどの滝も違う個性がある。
この滝は小柄だが、周囲の風景と相まって、「小さな緑の園」のような楽園感がある風景だ。
サバンナの中にある豪快な他の滝とは、また一味違う。
さてここからさらに先に進むこともできそうだが、計画通り引き返す事にする。
見逃したと思われるKamawiの滝を探しながら。
すると下ってきた斜面を登っている途中で、Kamawiの滝方向に向かう怪しい轍を発見。
それをしばらく辿ってみると…見えたKamawiの滝。
なんと計画していたとおり、無事に3つの滝を訪れることができそうだ。
最後の滝に向かって疲れた体に鞭打って先へと進んでいく。
こちらも素晴らしい滝だ。もう滝には満足した!
もうさすがに疲れてきたので、今日のキャンプ地のことを考える。
明日のことも考えて、村の近くまで戻るのもいいが、せっかくなのでこの大自然の中でキャンプしたい。
結局キャンプの候補地に考えていた、Kamawiの滝上部の川沿いの場所付近にテントを張る事に。
本日最後の水浴びをし、汗をかいたシャツを石鹸でゴシゴシして、簡単に洗って乾かしておく。
どこからともなく放牧されていた牛達も数頭やってきて、こちらを眺めている。
もしかしたら彼らがいつも寝ている場所なのかもしれない。そこに突然部外者が出現したものだから驚いているのだろう。
と思ってしばらく目を離した隙に、何と牛が私のシャツをボリボリと食べている!
「こらぁー!」と脅かしに走って駆け寄る際に、小指を岩に打ちつけて出血。
何とかシャツは取り返したけれど、体液でべちょべちょ。もう一度洗いたいけれど、石鹸はどこへ?あぁ…もう一匹の牛が食べてすでに胃の中らしい。
これで牛がテントにも興味を持って壊されたら嫌なので、ここから牛との格闘が始まる。何度も追い返してようやく戻ってこなくなった。
まさかここでの一番の敵が、放牧されている牛になるとは想像もしていなかった。
気を取り直して、川のくぼみにある、小さな段差にできた自然のジャグジーに腰をおろし、夕日を眺める。何て場所だ。
ギニアのフータ・ジャロン地方では、こんな素晴らしい大自然の中で、トレッキング、一人でキャンプができてしまう。日本やヨーロッパでは考えられない。
こんな素晴らしい場所だと絶対に他にも誰かがいるのだから。下手した周りはテントだらけやで…。
好きな所にテントを張って、自然と孤独を楽しむ贅沢。
翌日早朝。
霧がかったサバンナの不思議な光景を目にしながら、次の目的地ドゥキへと歩き出すのであった。
ドゥキで奇岩地帯を歩く
エギュエルで3つの素晴らしい滝を訪れた後は、ドゥキへと向かい歩き出す。
どんな場所か調べてもよくわからなかったが、どうやらトレッキングができる場所があるらしいことはわかった。
とりあえず行ってみればルートも発見できるだろうという事で、ドゥキへと向かう。
村の人々に聞いた、地図にもないショートカットのルートを歩いていく。
あんまり面白いルートではなかったけれど、高原地帯を経由してエギュエルとジャガという街を直接結ぶルートのよう。
ジャガの街に無事に到着し、何か食べる物を探しているとレストランも閉まっており何もない。
しかし街の人に尋ねると、今日は特別な日(理解できなかったがラマダン前の最後の日曜日だった?)のようで、モスクで無料で食事を提供しているという。
モスクを訪ねると、小鍋に大盛りのご飯、煮込んだ野菜に魚。さらにジュースまで頂くという至れり尽くせりの待遇。
これだからイスラム教は絶対に嫌いになれないのだ(笑)
午後になり、ジャガの街からドゥキ方面へと歩いていると、パラパラと小雨が降り始め、次第にザァ―っと本格的な土砂降りになった。
何か月ぶりの雨だろうか。嬉しくなってしばらく体を濡らしながら歩いていたが、風邪をひく前に民家で雨宿り。鶏も雨宿りしていた。
しばらくしてドゥキに辿り着いたのだが、どこを歩けば絶景に辿り着けるのかも見当がつかない。
だがとりあえず地形を見て、よい展望がありそうな、周辺で一番標高の高い、半島のように突き出した崖を発見。
あそこなら何かあるかもと思い、轍を探しながら歩いていると、それらしいトレイルを発見。
そこに沿って歩いていくと、出くわした景色がこちら!
巨大な奇岩に、巨大な渓谷。
こんな風景があるなんて想像もしていなかったのでビックリ。
さらに崖の向こうからは水の勢いよく流れる音もするので、滝がある事も間違いない。
さらにここにはテントを張る十分なスペースがあったので、今夜はこの絶景の場所で一泊することに。
しかしここでもトラブル発生。牛はいなかったが、夜中にテントのファスナーが壊れて、扉部分が閉まらなくなるトラブル。
蚊が、蟻がテントに入ってくる。工夫して扉の隙間を埋めるのだが蟻の侵入を完全に防げずに、時折体を這いまわる蟻に起こされながらの不快な夜だった。
そして翌朝太陽が昇る。
徐々に明るくなってくる風景を目の前にしながら、「今日はあの大きな奇岩の近くまで崖を下って歩いてみよう」ということに。
そしてテントの扉が壊れたから、もうその後はピタの街に帰る。
下の写真が、適当ですが私の歩いたルート。
私がキャンプした場所の先は、切り立った崖になっており、そこから北へ崖沿いに歩いていく(轍あり)と崖の下に続く小道を発見。
その小道は奇岩方向に延びていたのでした。
崖の上から眺めるよりも、地上から見上げると一層巨大な奇岩。
そして奇岩はここだけでなく、他にもたくさんの奇岩がニョキニョキと地表から飛び出す奇岩地帯だったのだ。
素晴らしい絶景に囲まれた風景。
ギニアの治安が安定し、もっと数多くの人々が旅行者として訪れるようになった時、ここは人気の観光地になるに違いない。
トレッキング好きからすれば、今まで訪れた西アフリカ諸国の中で、ギニアはお気に入りの場所。
昔はもっと人々が頻繁に利用していたであろう、小さな村々をつなぐ山道がいくつもある。
その山道を歩くトレッキングを、ネパールやインドのラダックのようにできるポテンシャルがある。
轍は大地にパックリと口をあけたような渓谷の崖までつながっており、そこからさらに下っていくようだった。
しかし今回は崖の下には降りずに引き返す。
ちなみにこの渓谷を流れる川は、ケンコンとカンバダガの滝から流れてきた川と同一である。
上から眺めていると、この川沿いにいくつもの集落があるようだった。
帰り道には、洞窟から流れ出る湧水も発見。
すぐそばにコップが置いてあり、地元の人もここに水を補給しにくるのがわかる。
ここの水は抜群に美味しかった。
またどんな形でこの地に戻ってくることがあるのか、ないのかは誰にもわからないけれど、フータ・ジャロン地方はまた再訪したいと思わせてくれる場所だった。
誰の役に立つかはわからないけれど、個人でギニアでのトレッキングを考えている人の参考になれば。
おわりに
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